top of page

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―和歌山県橋本市

はじめに


 現在、地方創生や地域活性化に向けた取り組みを進める自治体の取り組みの柱となっている「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などの最新のデジタル技術を活用して、地域それぞれの魅力や特性を維持したまま利便性や住民サービスの向上を目指すものです。本ジャーナルでも力を入れて特集を続けており、奈良県奈良市のAIを活用して利⽤者の属性や嗜好などから最適な観光プランを提案する「AIコンシェルジュ」などを導入する⾮接触型観光案内事業兵庫県姫路市の窓口に設置されたタブレット端末を操作するだけで各種申請ができるようにする「スマート窓口」の実装三重県いなべ市の市内に居住している高齢者向けの共同送迎サービスなどの事例について紹介をしてきました。今回は和歌山県橋本市の「窓⼝業務のデジタル化」について見ていきたいと思います。



橋本市の取り組み


 橋本市は和歌山県の北東端に位置している自治体で、人口は令和5年(2023年)12月の時点で約58,000人となっており、和歌山市、田辺市に次ぐ和歌山県内で第3位の人口を抱えています。大阪府河内長野市や奈良県五條市との県境を接している自治体で、和歌山県内の自治体で唯一大阪都市圏に含まれている自治体です。鉄道はJR西日本の和歌山線や南海電気鉄道の高野線が通り、道路面でも東西軸の京奈和自動車道・橋本道路及び国道24号と南北軸の国道371号橋本バイパスが市内で交差する陸上交通の要衝となっています。


 この橋本市ではデジタル田園都市国家構想交付金を活用して、窓⼝来庁時に混雑による待合や記載間違いなどのミスを防ぎ、申請書の作成補助や事前に質問内容を⼊⼒する機器を導⼊して窓⼝の利便性向上を図ることを目的に窓⼝業務のデジタル化に乗り出しました。橋本市はICTの導入や制度改正・意識改革などによってデジタル化を進め、デジタル技術を活用していくことで、「安全・安心で利便性の高い暮らし」、「持続可能な市政運営」の実現を図ろうと、令和5年(2023年)に「橋本市DX推進計画」を定めています。この計画に付随する資料「橋本市DX推進事業一覧」の中で、「窓口のデジタル化」の項目を設けており、「書かない窓口サービスの導入」が令和5年(2023年)度から開始することが明記されています。


 今回の事業で橋本市は株式会社BSNアイネットが提供をしている窓口改革ソリューション「ゆびナビぷらす」を導入するとしています。このシステムはあらゆる種類の申請書をノーコードでデジタル化する可能で、来庁した市民にヒアリングを実施した後、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類を読み取り、システム上から申請書を作成することができます。また、PCやスマートフォンなどから事前に申請をしてQRコードを発行して来庁時にQRコードを読み取ることで申請書を発行することができる機能やマイナンバーカードの個人認証機能とキャッシュレス決済を活用して、来庁せずにオンライン上から完全に申請を完結して、証明書が自宅に郵送などで届く機能などを有しています。このシステムを導入することで、記載間違いといったミスを減らして来庁から⼿続き完了までに要する時間を短縮することを目指します。


 橋本市では今回の事業にデジタル田園都市国家構想交付金から12,662千円分の採択を受けています。また令和5年(2023年)の一般会計補正予算(第1号)にも「書かない窓口導入事業委託料」として12,661千円を計上しています。今後、橋本市の事業がどのような成果を上げるのかに注目が集まります。



まとめ


 窓口のDX化に取り組んでいる自治体は数が非常に多く、先駆的な事例である北海道北見市の事例以外にも、橋本市のようにデジタル田園都市国家構想交付金などを活用して後発で着手しだしている自治体も数多く現れています。窓口DXに関連するサービス・ソリューションは令和6年(2024年)度以降に取り組みを始める自治体から、引き続きニーズがある可能性が伺えます。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。






出典:

橋本市HP:橋本市 DX 推進計画

橋本市HP:橋本市DX推進事業一覧

BSNアイネットHP:ゆびナビぷらす | サービス紹介 | BSNアイネット橋本市HP:令和5年度一般会計補正予算 (第1号)

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金交付対象事業の概要 和歌山県

最新記事

すべて表示

全国初の自治体窓口DXSaaS実装!和歌山県紀の川市の事例

はじめに ニュースや書籍などで目にすることも多くなってきたDX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉。国では令和2年(2020年)に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」において、「将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること」と定義しています。このDX化の波は留まることを知らず、今や官民

地方創生と群馬のブランド力向上のためのeスポーツの推進ー群馬県の取組事例

はじめに 近年、eスポーツは地域産業の活性化や高齢者福祉、地域コミュニティの活性化に繋がるコンテンツとして地方自治体から注目が集まっています。ゲームの特性上、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関わらず、誰もが参加できるツールとして導入が進んでいます。これまで神奈川県横須賀市、東京都西東京市や荒川区の取組みを取り上げてきましたが、今回は群馬県が取り組む地方創生や群馬のブランド力向上のためにeスポーツを

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―奈良県生駒市Pt.2

はじめに 現在、日本全国の地方自治体によって取り組みが進められている「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などの最新のデジタル技術を活用して、地域それぞれの魅力や特性を損なわないようにしながら利便性や住民サービスの向上を目指すものです。この構想を実現するため「デジタル田園都市国家構想交付金」制度も創設され、交付金を活用して地域活性化や地方創生を図る

bottom of page