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デジタル田園都市国家構想交付金でスマートシティの推進ー福島県会津若松市

はじめに 


 近年、地方自治体のスマートシティ化に向けた動きは、日本政府のデジタル田園都市国家構想の影響もうけて日本全国に広がっています。今回取り上げる福島県会津若松市の事例は、マイナンバーカードを活用した住民生活における多様な場面での利便性向上に資する取り組みとなっており、令和5年(2023年)のデジタル田園都市国家構想交付金として採択された先進事例となっています。会津若松市では、以前よりスマートシティ化に向けた取り組みは継続的に実施されている自治体なので、本ジャーナルでも継続的にリサーチを行っていきたいと考えています。 

 


デジタル田園都市国家構想交付金でスマートシティの推進 


 福島県会津若松市は、福島県西部の会津盆地のほぼ中央に位置し、磐梯山や猪苗代湖などの豊かな自然に恵まれたまちです。歴史的には、古事記にも「相津」の地名が記されるなど、古くから交通の要衝として栄えていました。また、市内には平成5年(1993年)開学のICT専門大学(公立)の「会津大学」があり、先進的なソフト・ハードウェアサイエンティストを多数輩出しています。「THE世界大学ランキング2021」において日本国内で第14位にも選出されるなど、国内でICT教育を積極的に推進する大学の一つです。 

 

 会津若松市では、平成25年(2013年)2月、市の政策の方針を示す「施政方針」と「地域活力の再生に向けた取組み~ステージ2~」において「スマートシティ会津若松」の推進が掲げられ、以来、関連する取組を進められてきています。「会津若松市第7次総合計画(平成29年(2017年))」では3つのコンセプトのうちの一つ“つなぎ続くまちへ”の中で、「スマートシティ会津若松」を市政運営全体の向上のために有効な手段として位置付けています。「第2期会津若松市 まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中でも、ICTを活用したまちづくりを積極的に推進することが示されています。 

 

 今回取り上げる令和5年(2023年)のデジタル田園都市構想交付金の採択事業は、令和4年(2022年)から採択されている事業で、マイナンバーカードを活用したモデル的な取組(タイプ3)として採択されており、タイプ3として採択を受けたのは、全国で会津若松市を含む8地域で、東北地方で唯一の採択となっています。事業費としては132,550千円が計上されており、事業名は「複数分野データ連携の促進による共助型スマートシティ推進事業」で、マイナンバーカード1枚で多用な市民生活の場面における利便性向上に貢献するための取り組みが行われています。大きくは3つの取り組みが行われ、1つ目はデジタルクーポン・ポイントサービスによる商店街・店舗DX、2つ目は簡単&迅速なデジタル行政手続、3つ目は環境価値の地域循環サービスが行われています。会津若松市議会、令和5年(2023年)2月定例会議02月27日一般質問―02号では、室井照平市長が「スマートシティ会津若松の取組におきましては、これまで全国に先駆けて先進的な取組を推進しており、全国のモデルケースとされるデジタル田園都市国家構想推進交付金、デジタル実装タイプ、タイプ3の事業について、事業費単位では全国最大規模となる約8億3,000万円で採択を受けたところであり、これは本市の地方創生の取組に対し、国から最大限の評価をいただいたあかしであると認識しております。」と述べる等、全国的にも先駆的なスマートシティ化に取り組んでいることが分かります。 

 

 他の類似事例としては、兵庫県姫路市でも「マイナンバーカードによる姫路ライフ・スマート都市実装事業」として、人口減少と少子高齢化の課題解決のために、少子化対策につながる妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに応える取り組みを、事業費366,350千円で実施しています。グローカル社でも、令和5年(2023年)8月に神奈川県茅ヶ崎市のマイナンバーカード保険証の体験会に訪問をしましたが、全国的にマイナンバーカードを活用した取り組みは広まっています。 

 


まとめ


 今回取り上げた福島県会津若松市は、「スマートシティ会津若松」を掲げ長年継続的に自治体のICT推進をされており、今後もジャーナルでは継続的に取り組みを追いかけたいと考えています。ICT教育に積極的な会津大学も立地しており、今後の動向にも注目しています。 


 このような自治体のトレンドを見逃さないよう、グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。


執筆者 平峯 佑志 Yushi Hiramine

スポーツ&ヘルスケア関連の事業会社を創業メンバーとして起業、新規事業立ち上げ/経営企画/WEBマーケティング/法人営業・自治体営業/知的財産管理等の業務に従事。スポーツ専門研究機関のシンクタンクでのPM業務を経てグローカルにジョイン。

グローカルに参画後は、健康管理システムのソリューション営業の型化/営業支援体制の構築支援、自治体向けの情報プラットフォームの営業支援/PM業務、公募調査ツール「G-Finder」の企画開発業務に従事




出典:

会津若松市「スマートシティについて会津若松市」

会津若松市「複数分野データ連携の促進による共助型スマートシティ推進事業」

会津若松市「「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン」

会津若松市「会津若松市第7次総合計画(平成29年(2017年))」

会津若松市「第2期会津若松市まち・ひと・しごと創生総合戦略(令和2年(2020年))」

一般社団法人AiCTコンソーシアム「会津若松市のデジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ TYPE3)採択事業に2年連続で実施主体となることが決定」

デジタル田園都市国家構想「デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプ(TYPE2/3)の活用事例」


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