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ドローンで南海トラフ地震に備えるー愛知県名古屋市の取り組み

はじめに


 近年、災害の激甚化、頻発化に伴い、正確な情報を収集し迅速に把握することが求められています。そこで活躍が期待されているのがドローンです。令和4年(2022年)12月に航空法改正があり、ドローンの活躍の場は次第に広がっています。本ジャーナルではこれまでも、島根県三郷町の物流分野での活用や神奈川県横浜市の管渠点検での活用など、地方自治体でのドローンの活用について紹介してきました。今回は愛知県名古屋市を事例に災害対策におけるドローン活用の動きについて見ていきたいと思います。

 


愛知県名古屋市の取り組み


 愛知県名古屋市は愛知県の県庁所在地で、三河湾に面し、港町として一面も持っています。南海トラフ地震をはじめ、災害がいつ発生してもおかしくない現在、地震や津波など災害への備えは必須です。愛知県名古屋市では、平成30年(2018年)に災害情報収集機能の強化を図るため消防活動用ドローンが導入されました。消防活動の中では建物火災において、上空から赤外線カメラにより撮影することで、隣接建物への延焼状況の確認などに活用されています。指揮隊員からは、「ドローンの導入により大幅に情報量を増やすことができ、迅速かつ安全な情報収集ができた。」と導入を高く評価する声が上がっています。


 また、ドローンをより効果的に活用するために、複数の事業者と「災害時のドローンの活用に関する協定」を締結し、協定事業者との勉強会を定期的に実施しています。単にドローンで撮影するのみでは災害対応に十分に活用することはできないことから、令和4年(2022年)地理情報システム(GIS)と組み合わせた防災システムの基盤構築に23,980千円の予算をかけて取り組みました。このシステム構築によって、ドローンで上空から撮影した映像を災害対策本部へ映像伝送し、GISデータへの重ね合わせなど効果的かつ効率的に分析することが可能になります。


 令和6年(2024年)にも愛知県名古屋市は県内の12社と組み、災害時に区役所から空撮した被災状況の映像を把握する仕組みを構築する意向を表明しています。ドローンで撮影した画像や動画をリアルタイムで電子地図に投影し、被害状況を迅速に把握できるよう仕組みを整えることを予定しており、従来の電話やFAXでの被災状況確認から脱却し、より効率的な災害対策実現に向けてドローン活用を推進しています。

 


まとめ


 災害が激甚化・頻発化する中で、備えを盤石にするために誰がドローンを保有・運用するのか、座組を考えることでドローンの活用も広がっていくことが想定されます。自治体によっては、「教育する予算も体制も組む余裕もない」、「ドローンを操縦する人員が足りない」という理由でドローンの導入が進められないことがあるようです。しかし、愛知県名古屋市のように企業と災害時の連携協定を締結することで、自治体のリソースに限界があったとしても管轄エリアをカバーすることができます。本事例はドローンを活用した災害対策の先進事例として、参考になるのではないでしょうか。 


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。




執筆者 西村 東真 Toma Nishimura

地方金融機関に新卒入社し、個人顧客向けに投資信託や保険の提案など資産運用コンサルティングを実施。飲食店と消費者を結ぶリアルタイム予約プラットフォーム事業の起業に奔走したのちにプライマルにジョイン。eスポーツを活用した新サービス・事業立ち上げに向けた自治体ニーズ調査、ドローンの販売拡大に向けた営業企画、補助金調査、支援体制構築などに従事。グローカルでは特にインフラ領域の地域課題解決のため、新規事業立ち上げに向け活動。






出典:

名古屋市HP:名古屋市 平成30年2月 定例会 02月19日-01号

名古屋市HP:名古屋市 令和2年 都市消防委員会 10月08日-01号

名古屋市HP:名古屋市 令和4年9月 定例会 09月16日-19号

名古屋市HP:名古屋市 令和4年度 主な施策等一覧

日経新聞:災害時、区役所からドローン一斉調査 名古屋市が12社と 2023年(令和5年)10月11日


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