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窓口DXでワンストップ化&省力化!北海道北見市の事例



はじめに

 近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が、日本全体に広がってきました。地方自治体においてもその波の影響は避けて通れず、多くの自治体の様々な業務でDX化の取り組みがなされています。これまでも福島県福島市のDX化など、地方自治体でのDX事例について紹介してきましたが、窓口業務のDX化について焦点を当てていきます。窓口業務のDX化は、市民の待ち時間などの面から効率化とサービス向上を両立させるための取り組みとして注目を集めています。窓口DXに取り組む自治体の中でも、北海道北見市は先進的な取り組みをしてきたことで有名です。今回はこの北見市の事例について見ていきましょう。


北見市の窓口業務DX事例

 北見市は北海道東部に位置する自治体で、平成18年(2006年)に旧北見市、端野町、常呂町、留辺蘂町の4市町が合併したことで生まれました。人口はおよそ11万7千人で、オホーツク圏では最大の規模を誇る都市です。


 この北見市では平成24年(2012年)に新人職員を利用者役とした「市役所窓口体験調査」を実施したところ、住⺠は申請書の書き⽅などを窓⼝で尋ね、職員から記載方法について説明を受けて再び記載台に戻って記入する、という非効率的なワークフローとなっており、窓⼝業務は時間がかかって使いにくいということが浮き彫りになりました。翌平成25年(2013年)に「北見市ワンストップサービス推進会議」という庁内会議を立ち上げ、窓口業務の効率化に乗り出しました。その翌年の平成26年(2014年)にはMicrosoftAccessを使って内製した、税窓口業務で使用していたツールを活用して住民票・印鑑証明・戸籍証明書を対象に、証明申請書の記載支援「かんたん証明申請」がスタートしました。


 さらに翌年の平成27年(2014年)には、株式会社北見コンピューター・ビジネスと共同で窓⼝⽀援用の独⾃システムを構築しました。北⾒市役所では以前から、複写式の異動届やチェックシートを活⽤したアナログなワンストップサービスを実施していましたが、案内漏れが多いなど様々な課題がありました。また、利用者にはカウンターの移動、各担当課での記載、各担当課での説明という3度の手間が発生していました。このような課題を解決するため、フロントで各種制度の利用状況を確認しながら必要な⼿続きを⾃動で判定し、住所情報などを印字する機能を備えたシステムが必要とされていました。このシステムの導⼊により、利用者は印刷された書⾯を確認しサインをするだけで⼿続が済み、住⺠異動と他課の多くの⼿続がまとめて完結することが可能となりました。


 このシステムを活用したワンストップ対応は年間約8,700件を数え、年間当たりの業務削減時間は年間で約3,375分に上り、利用者の負担軽減と業務効率化に⼤きく貢献しました。このシステムは令和4年(2022年)度末で、日本全国の14⾃治体が導⼊を進めるなど全国的な横展開が進んでいます。また、令和2年(2020年)度に北見市役所が新庁舎に移転するに当たってワンストップサービスを本格的に運用するため、現行の戸籍住民課業務を再編して新たに「窓口課」を新設するなど、窓口業務の効率化に向けた取り組みが続けられています。


まとめ

 地方自治体の窓口業務のDX化は、行政と市民の関係を変革する重要な取り組みです。効率的な行政サービスの提供と市民の利便性向上によって、より良い社会を実現するために、地方自治体は積極的に取り組んでいくことが必要です。北見市の例は全国的な横展開が進んでおり、今後他の導入自治体によってさらなるブラッシュアップや発展が期待されます。

 

 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用した調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

<総務省HP:「書かないワンストップ窓口」(書かない、回さない、漏れがない窓口) 【北海道北見市】>

<内閣官房HP:デジ田メニューブック 書かないワンストップ窓口北海道北見市>

<北見市HP:北見市役所の窓口サービス改善の取り組み経過>

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