都市基盤DX水道使用量等のAIによる空き家予測事例ー愛知県豊田市
- primalbiz100
- 3月24日
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はじめに
近年、日本国内で空き家の増加が深刻化しています。総務庁の調査によると令和5年(2023年)10月時点で使用目的の無い空き家は385万戸に及ぶとのことです。人口減少や高齢化の進行に伴い、今後さらに増加することが予測されます。空き家が放置されると倒壊のリスク、害虫害獣の発生、悪臭、防犯上の問題、景観悪化、水道管破損による漏水など様々な悪影響が懸念されます。そこで愛知県豊田市では空き家が放置されることによって起こる悪影響の1つである水道管破損による漏水をAIを用いて迅速に対処できた事例を見ていきます。
豊田市の取り組み
豊田市は愛知県の中央部に位置する自治体で、令和7年(2025年)3月の時点で約410,000人の人口を擁する県内有数の都市です。自動車メーカー「トヨタ自動車」の本社が置かれていることから、日本を代表する自動車産業の中心地として広く知られています。市内にはトヨタ関連の工場や企業が多く集まり、経済の大きな柱となっています。
また、豊田市は自然環境にも恵まれており、市域の約7割が森林に覆われています。特に香嵐渓(こうらんけい)は紅葉の名所として知られ、多くの観光客が訪れます。さらに、スポーツや文化活動も盛んで、サッカーJリーグの名古屋グランパスのホームスタジアムである豊田スタジアムがあり、国内外の試合やイベントが開催されています。
近年では、再生可能エネルギーやスマートシティ化の推進にも力を入れており、持続可能なまちづくりの取り組みも進められています。SDGs未来都市にも選ばれている先進的取り組みを進めている自治体の1つです。
具体的な取り組み
この豊田市では冒頭に記載した空き家が放置された結果発生する水道管破損における漏水をAIを用いることにより、早急に対処できた事例があります。
令和5年(2023年)2月の寒波の際午前8時40分、配水場(約100戸に供給)にて水位低下を確認し、凍結による水道管の破損の可能性を考え、調査場所の優先順位を①将来空き家になる可能性が高い住宅(30戸)、②水道が使用中で直近使用量が全くない住宅と設定し調査に乗り出しました。①将来空き家になる可能性が高い住宅を水道使用量データ等の年間の周期性変化から、AIが空き家発生となる推移パターンを抽出し、将来的に空き家発生が起こる予測確率を出力しておいたことにより30戸のリストを作成することができ、あたりを付けた効率的な住戸特定が可能となりました。結果として6時間以内に水道管が破裂している住戸を特定することができ、止水することに成功しました。しかも探索チームは2班(1班2人)という少ない稼働で対処しました。
上記事例の前年に当たる、令和4年(2022)度当初予算概要の資料には水道ストックマネジメント計画の策定に関しての記載があり、適正な予算の確保と盤石な計画があったおかげで実際に漏水が起きた際にも迅速な対応ができた良い事例と言えます。
まとめ
このようにAIを活用することによって、時間と人の稼働を効率的に進めることができます。今後人口減少や高齢化という波は避けられないため、その中でこういったAIを用いたテクノロジーの部分で限られたリソースでも現行の問題を早期に解消することができます。

執筆者 グローカル編集部
地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。
グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。
出典:
愛知県豊田市「新しい地方経済・生活環境創生本部事務局HP:インターネット投票事例 愛知県豊田市」
豊田市HP「都市基盤DX豊田市HP「第4回Digi田甲子園」で豊田市定住促進課の取組がベスト4を受賞」
内閣官房HP「都市基盤DX~水道使用量等のAIによる空き家予測~」
愛知間豊田市「令和4年(2022)度当初予算概要」