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高齢化した農業の課題解決 米原市におけるスマート農業の取り組み

  • ysugiyama6
  • 2023年9月8日
  • 読了時間: 5分

更新日:2024年3月7日



はじめに

 日本農業は、担い手の高齢化や作業負担といった課題に直面しています。地方では少子高齢化が進行し、農業従事者も高齢化が進んでおり、労働環境の厳しさが農作業の遂行を妨げています。このような状況の中、滋賀県米原市では「スマート農業」というアプローチを通じて、先進技術を活用して作業効率の向上と労働環境の改善に取り組む事例があります。市内では、補助金の創設や対外的な視察会開催などを通じて、市内外に向けたスマート農業の普及啓発を進めています。


米原市におけるスマート農業の取組と先端技術の導入

 米原市は、滋賀県島北部地域の中心に位置し、人口37,000人の地域です。日本百名山のひとつである伊吹山があるなど美しい自然に恵まれています。米原市の農業は、伊吹山等から流れ出る澄んだ水や野菜作りに適した黒ボク土があり、米や野菜を育てる理想的な環境が整っています。しかし、「「米原市人口ビジョン」および「まち・ひと・しごと米原創生総合戦略」(令和2年(2020年)3月改訂)」」によれば、高齢化が進行し、65歳以上の人口は増え続ける一方、64歳以下の人口は年々減少しています。この課題に対処するため、米原市は生産年齢人口の維持を目指し、若者世代が活躍できる経済基盤の構築を目指して、「農林水産業の成長促進」を試作の一つとして取り入れています。


 米原市では、「米原市スマート農業推進方針」を令和4年(2022年)12月に策定しました。この方針は、高齢化による労働力不足を、ICT、IoT、AI等の先端技術を活用して補完し、農業経営における省力化、効率化、コスト削減、収量の向上を図ることで、生産性や収益性向上を促し、安定した農業経営の基盤構築を目指すものです。最新の令和5年(2023年)第1回定例会(第1号2月22日)では、平尾道雄 市長は「農業と先端技術を組み合わせたスマート農業を推進し、新たな担い手確保と育成で、持続可能な地域農業を推進するための支援制度も創設します」と述べ、今年度も積極的に取り組まれていくことが示されています。


 具体的な活動が、令和5年(2023年)には2つの取り組みが行われました。まず、市内で先端技術を活用している農家を視察する「米原市スマート農業視察会」です。農業用ドローンの活用(DJI JAPAN社製)、生産管理ソフト(ソリマチ社製)、リモコン草刈り機(アテックス社製)などが、市内農家で活用されています。視察会だけでなく、市内の農業者に向けた事業として、「令和5年度スマート農業技術導入支援事業補助金」を創設され、スマート農業技術の導入にかかる経費を支援しています。


 他の地方自治体でも、令和5年度(2023年)には、スマート農業を支援する補助金が創設されています。東京都瑞穂町では「令和5年度瑞穂町スマート農業・環境負荷軽減推進事業補助金」、愛知県田原市では「令和5年度スマート農業推進補助金」があり、全国的にスマート農業への取り組みが広がっていることが分かります。


 また、実際にスマート農業技術を導入・普及を行う上での、導入技術等の選定方法も「米原市スマート農業推進方針」では示されています。導入初期段階では低コストで既に実用化され、一定の効果検証がされているもの、例えば「経営・生産管理システム」「水管理システム」「アシストスーツ」等が挙げられています。中長期的には導入コストや技術レベルが高く、大規模でインフラ整備等が必要なもの、例えば中期的には「農業用ドローン」「リモコン草刈り機」等が挙げられ、長期的には「ロボットトラクター」「高性能コンバイン」等が取り上げられています。農作業の効率化・省力化を推進し、生産性の向上を図るための方針となっています。また、今後も米原市におけるスマート農業の「導入・普及に向けた具体的な施策」等について続編で取り上げていく予定です。


まとめ

 農林水産省では、「スマート農業の総合推進対策」として、令和5年度予算概算要求として3,942百万円を計上しています。農業者の高齢化や担い手不足は全国的な課題であり、政府もスマート農業の社会実装に向けての技術開発や実証、普及のための環境整備策を推進されていることが分かります。


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執筆者 平峯 佑志 Yushi Hiramine

スポーツ&ヘルスケア関連の事業会社を創業メンバーとして起業、新規事業立ち上げ/経営企画/WEBマーケティング/法人営業・自治体営業/知的財産管理等の業務に従事。スポーツ専門研究機関のシンクタンクでのPM業務を経てグローカルにジョイン。

グローカルに参画後は、健康管理システムのソリューション営業の型化/営業支援体制の構築支援、自治体向けの情報プラットフォームの営業支援/PM業務、公募調査ツール「G-Finder」の企画開発業務に従事




出典:

<米原市「令和5年(2023年)第1回定例会(第1号2月22日)」>

<米原市「米原市人口ビジョン」および「まち・ひと・しごと米原創生総合戦略」(令和2年(2020年)3月改訂)」>

<米原市「米原市スマート農業推進方針(令和4年(2022年)12月)」>

<米原市「令和5年度米原市スマート農業視察会」>

<米原市「令和5年度米原市スマート農業技術導入支援事業補助金について」>

<農林水産省「令和5年度予算概算要求額「スマート農業の総合推進対策」」>

<瑞穂町「令和5年度瑞穂町スマート農業・環境負荷軽減推進事業補助金」>

<田原町「令和5年度スマート農業推進補助金」>

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