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デジタル田園都市国家構想補助金の活用事例―富山県高岡市



はじめに

 平成26年(2014年)に発足した第二次安倍内閣が「地方創生」という概念を提唱し、この概念は瞬く間に日本に定着し、日本各地の地方自治体で地域活性化や地方創生を目指す施策が行われました。この流れは現在の岸田内閣にも受け継がれ、「デジタル田園都市国家構想」が打ち出されています。この構想を実現するため、「デジタル田園都市国家構想交付金」も交付され、採択を受けた自治体が取り組みを始めています。本ジャーナルでも、神奈川県箱根町神奈川県逗子市の事例について紹介してきました。今回は富山県高岡市の事例について焦点を当てていきたいと思います。


高岡市の取り組み

 高岡市は、富山県北西部に位置する市で、日本海に面し、令和5年(2023年)1月の時点で約165,000人の人口を抱える富山県第2の都市です。日本の渚百選に選ばれ、男岩・女岩といった島々と富山湾越しに立山連峰を望むことができる雨晴海岸などの景勝地や高岡市の開祖である加賀藩二代目藩主の前田利長の菩提寺である国宝・瑞龍寺が有名で、富山県の中でも観光地として人気がある都市です。

 この高岡市では株式会社博報堂、高岡交通株式会社とタッグを組んで、デジタル田園都市国家構想交付金を活用した「MaaSの実装によるデマンド型地域交通システム最適化事業」を行っています。MaaS(Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者など利用者一人一人の移動ニーズに対応して、複数の公共交通や移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービスです。高岡市が今後の交通に関する方針を示す「高岡市総合交通戦略」にも、「公共交通の利便性や利用促進、ひいては交通事業の担い手不足などに対応するため、IoTやAI技術、MaaSなどを活用し、各交通モードを繋ぐ新たなサービスの導入に向けた検討を進めます。」と明記されています。


 また「高岡市DX推進方針」でも、「デジタルを活用した地域公共交通システムの利便性向上」として、「市民協働型地域交通システムへの MaaS の実装により、利用者の利便性向上と運営側の労務負担軽減を図る。また、旅行や出張などで来訪される方の移動の利便性向上を図るため、交通事業者と連携して観光型 MaaS の普及拡大を図る。」とMaaSの必要性を述べています。

 続いて、具体的な取り組みを見ていきたいと思います。高岡市では令和4年(2022年)から博報堂が開発したMaas運用システム「XT.H Mobilityシステム」を利用し、高岡市内の中田地区を対象にしたマイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカル中田」の実証実験を開始しました。このシステムは予約管理、ドライバー向け、利⽤者向けの3つのサービスで構成され、利用者はLINEによる乗車予約やリアルタイムでの運行情報の確認、各公共交通機関の時刻表の確認などが可能になりました。またLINEで予約された情報はシステムに即時反映されるため、予約を受付するオペレータの⼊⼒業務も削減することができるシステムとなっています。


 高岡市では令和5年(2023年)度予算に「市民協働型地域交通システム推進事業」として11,100千円を計上。その内、デジタル田園都市国家構想交付金事業に採択を受けた部分が4,812千円となっています。


まとめ

 デジタル田園都市国家構想は、地域活性化や地方創生への取り組みの中心として今後も注目を浴びることでしょう。地域の魅力に磨きをかけながら新たな価値を生み出す取り組みには、日本社会の活路を開く役割を期待されています。今後も新たな交付金事業が始まった際には、各地方自治体で様々な事業が行われることが予想されます。


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執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

<高岡市HP:高岡市総合交通戦略【改訂版】>

<高岡市HP:高岡市DX推進方針>

<高岡市令和5年度当初予算(案)の概要>

<内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)交付対象事業の概要 分野・都道府県別(令和4年度第2次補正予算)富山県>

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