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デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―和歌山県有田市



はじめに

 

 現在、全国の地方自治体が取り組みを進めている「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などの最新のデジタル技術を活用して、地域ごとの魅力や特性を損なわないようにしながら利便性や住民サービスの向上を目指すもので、地方創生や地域活性化を目指す自治体の取り組みの柱となっています。「デジタル田園都市国家構想交付金」制度も設けられ、全国の地方自治体がこの交付金を活用して、様々な事業に乗り出しています。本ジャーナルでも特集を続けており、兵庫県加東市の「書かない窓口」の実装やWeb上からの事前申請の実現による住民の異動受付を⽀援するシステム構築事業愛知県豊橋市のICTを活用した糖尿病予防事業岐阜県恵那市のスマートスピーカーを利用した高齢者の見守り事業などを紹介してきました。今回は和歌山県有田市の「有⽥市市⺠ポータル構築事業」について見ていきたいと思います。



有田市の取り組み


 有田市は和歌山県の中部に位置している自治体で、令和5年(2023年)12月の時点で約24,000人の人口を有しています。市中心部を流れる有田川右岸にそびえる長峰山脈の保水力がありながら排水・通気性も良好な土壌と温暖な気候を生かして「有田みかん」の栽培が盛んに行われており、全国的にも有名なみかんの産地として知られています。また蚊取り線香の発祥の地として知られ、現在でも地場産業として盛んに生産が行われています。


 この有田市では、デジタル田園都市国家構想交付金を活用して有⽥市市⺠ポータル構築事業を開始しました。有田市では行政サービスのDX化・デジタル化に積極的に取り組んでおり、防災アプリや母子手帳アプリ、健康増進アプリ、公共施設の予約システムなど、市民の利便性を向上するために様々な分野でデジタルサービスを展開していました。しかし、これらの様々なデジタルサービスはそれぞれが連携しておらず、利用者IDなどの情報も異なっていました。このような状態でDX化を進めても、各サービスを利用するために別々のIDやパスワードを作成して管理する手間が生じたり、同じ情報を何度も登録したりと、かえって利用者にとって利用しづらい状況となってしまうことを有田市は懸念しており、特にデジタルサービスの利用に馴染みの無い高齢者はこのような状態ではサービスの利用率が低くなってしまい、デジタルデバイドが発生してしまう恐れがあると考えていました。


 また、行政分野におけるデジタルサービスだけでなく、市内の事業者や団体がホームページやSNSなどを活用して発信している情報を含めて、市内の地域情報を集約したポータルサイトが存在せず、市民が自らインターネットで調べて情報を取得する必要があることも課題として捉えていました。


 そこで今回、有田市は既存のデジタルサービスや将来的に導⼊するデジタルサービスを集約する「市⺠ポータル」を構築します。この市民ポータルでは、利⽤者に対して「市⺠ID」を発⾏。個人の属性を登録することで、⽣活環境や趣味趣向に応じた⾏政情報や店舗情報、イベント情報などをプッシュ型で通知します。また、将来的には防災アプリや電子母子手帳アプリ、健康増進アプリなどの既存のアプリと連携させ、各アプリの利用者情報の統合やサービスの拡張を実現することを目指します。


 有田市では、今回の事業にデジタル田園都市国家構想交付金から29,502千円分の採択を受けています。さらに令和5年(2023年)度予算にも「都市OS・データ連携基盤構築業務委託料」として79,990千円を計上しています。令和5年(2023年)7月に「有田市デジタルプラットフォーム構築業務に係る企画提案説明(プロポーザル)」が公告され、クロスポイント・コンサルティング株式会社が優先交渉権者として選定されています。今後、有田市の取り組みがどのような成果を上げるのかに注目が集まります。



まとめ


 防災アプリや健康増進アプリなど、デジタルテクノロジーを活かした行政サービスを提供する自治体は数多く見られるようになっています。これらのサービスを連携させることで市民サービスを向上させる有田市の取り組みは、利便性の更なる向上だけでなく誰もがデジタル化の恩恵を享受できるという視点やデジタルデバイドを防ぐ視点から、既存のデジタル行政サービスを提供している自治体から注目が集まる分野になるのではないでしょうか。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。






出典:

たつの市HP:~デジタル技術で市民の利便性向上と職員の業務改善~西播磨初!「書かない窓口」サ有田市HP:有田市デジタルプラットフォーム構築業務に係る企画提案説明(プロポーザル)について

有田市HP:有田市デジタルプラットフォーム(データ連携基盤)の構築業務仕様書

有田市HP:令和5年度当初予算のポイント

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金交付対象事業の概要 和歌山県

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