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メタバース・Web3.0で京都府の魅力を発信ー京都府の取組み



はじめに

 今回は、京都府で実施されているメタバース・Web3.0を活用した地域の魅力発信の最新事例を注目していきます。令和3年(2021年)11月にfacebook社が、今後のメタバース市場の成長を見込み「Meta社」と名称変更されるなど、近年メタバース(インターネット上に構築された3次元の仮想空間)を活用した自治体事例は、鳥取県町田市の事例も取り上げているように、各地で推進されています。


メタバース・Web3.0で京都府の魅力を発信ー京都府の取組み

 京都府は、日本列島のほぼ中央に位置しています。国土の1.2%で、47都道府県中31番目の大きさとなります。日本を代表する古都であり、国内外からの観光客に高い人気がある地域です。府内各地に多数点在している神社仏閣をはじめ、伝統工芸品、名産品にも恵まれています。

 

 京都府のメタバース・Web3.0の取組みは、平成18年(2006年)に「太秦映像プロジェクト」が発足されたことをきっかけとしています。プロジェクト名にある「太秦(うずまさ)」は、京都府京都市右京区にあり、歴史深い観光地として知られています。明治から昭和にかけて多くの映画撮影所があるなど、映像に所縁のある地域となっています。太秦映像プロジェクトは、世界に誇る日本コンテンツを、京都ならではの視点や資源を生かして映画・映像産業の振興に資することを目的に行われていました。平成20年(2008年)に「太秦メディアパーク構想」が策定され、この取組みは現在まで継続されています。令和5年(2023年)の当初予算でも、太秦メディアパーク共創拡大事業費として6,000千円が計上されています。アニメ・ゲームなどのコンテンツを生み出し続けてきた京都・太秦に、コンテンツ関連企業に加えて、メタバース、web3.0などのDX・ICT関連企業の集積を行い、教育・ものづくり・医療・観光など様々な分野においても世界をリードする拠点として京都府がなることが期待されています。京都府議会令和5年(2023年)6月定例会では、西脇隆俊知事が「太秦に集積する映画・アニメ・ゲームなどのコンテンツとメタバースなどの新しい技術や幅広い産業分野との融合モデルを創出いたします太秦メディアパークの取組などを通じまして、京都発の新たなメディア文化の世界発信につなげてまいりたいと考えております。」と述べられており、注目度の高さを表していると考えられます。

 最近の京都府のメタバース関連の取組としては、令和5年(2023年)7月に「メタバース・Web3.0活用コミュニティ」が新たに発足されました。産学官が連携した取組みとなっており、ビックデータや最先端のデジタル技術を活用した社会課題の解決を目指している「一般社団法人京都スマートシティ推進協議会」が運営元となり実施されています。コミュニティの活動内容は、コミュニティメンバーからの疑問や課題意識に基づいた勉強会や講演会の開催、Discord上での交流を行っています。

 令和5年(2023年)3月には、京都府としてメタバースの制作や活用に関わる方々が、セキュアで信頼できるメタバース空間づくりをしていく指針として、「コンテンツ×テクノロジー」産業の拠点を形成する活動母体である一般社団法人CiP協議会と京都府が共同で「メタバース・トラスト・ステートメント京都宣言」を策定されています。プロジェクトに関わってくるクリエイターや開発者などのステークホルダーが、安心安全にメタバースに関わっていけるように10個の指針が策定されています。京都府の推進するメタバース・Web3.0プロジェクトの具体的な活動事例の一つは、NHK、キルアフィルム、京都府がメンバーとなり、4面グリーンバックのスタジオでVRゴーグルを装着した演者がメタバース空間に入って、NHKの番組を撮影するという取組みが行われました。

 他の都道府県でのメタバース事例としては、神奈川県が令和5年(2023年)8月に、メタバースを活用した社会参加支援を促す取組み「つながり発見」パークを発表されています。プラットフォームには、凸版印刷株式会社の「Metapa」が活用されています。ひきこもりの当事者等に、他者との交流や就労のきっかけを提供することを主な目的としています。このように、都道府県単位でもメタバースの導入は積極的に進められています。


まとめ

 メタバース空間を活用した京都府の事例から、リアル空間では成しえないことを、メタバース空間では自由な発想で生み出していくことができる可能性を秘めていることが分かりました。京都府の地域特性を生かしたプロジェクトとして、国内外に日本文化を発信していくきっかけとなることが大きく期待されています。

グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「g-Finder」を活用した調査サービス「g-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 平峯 佑志 Yushi Hiramine

スポーツ&ヘルスケア関連の事業会社を創業メンバーとして起業、新規事業立ち上げ/経営企画/WEBマーケティング/法人営業・自治体営業/知的財産管理等の業務に従事。スポーツ専門研究機関のシンクタンクでのPM業務を経てグローカルにジョイン。

グローカルに参画後は、健康管理システムのソリューション営業の型化/営業支援体制の構築支援、自治体向けの情報プラットフォームの営業支援/PM業務、公募調査ツール「G-Finder」の企画開発業務に従事




出典:

<京都府「京都府議会 会議録」>

<京都府「映画・映像産業振興に対する総合的支援について」>

<京都府「令和5年度 当初予算案」>

<京都府「メタバース・Web3.0活用コミュニティ」>

<京都府「拡別メタバース メタバース・Web3.0推進戦略および共創プロジェクト」>

<神奈川県「メタバースで社会参加支援を目的とした「つながり発見」パークを開設し、イベントを開催します!」>

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