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メタバースで交流人口増大を狙う 鳥取県の取り組み



はじめに

 近年、メタバースという新しいデジタル空間が急速に拡大しています。これは仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を活用し、現実と仮想が交錯するデジタル空間のことを指します。これまでエンターテインメント産業を中心に展開されてきたメタバースですが、今や地方自治体もその可能性に目を向けています。これまでも東京都町田市のメタバースを活用した取り組みを紹介してきました。今回は鳥取県の取り組みに注目してみたいと思います。


鳥取県でのメタバース活用

 鳥取県は全国で初めて「メタバース課」を設置した自治体です。メタバース課は令和5年(2023年)に、アメリカとドバイを拠点に事業を展開するNOBORDER.z(ノーボーダーズ)が提供しているメタバース空間「XANA(ザナ)」内で架空の組織として立ち上げ、⾳声会話や感情表現が可能なAIを搭載したAIアバター職員の「YAKAMIHIME(⼋上姫)」を配置しました。メタバース空間上で⿃取県の魅⼒を発信し、現実世界での⿃取県への観光や物産の振興やこれまでにない新たな関わり⽅が生まれることで、交流人口の増加を狙った取り組みになります。メタバース空間に課を設置することや、高いコミュニケーション能⼒を持ったAIアバターを職員として採⽤するのは⾃治体としては初の試みであり、全国的にも⼤きく注⽬を集めています。


 NFT(Non Fungible Token、ノンファンジブルトークン)を活用したPR活動にも取り組んでいます。株式会社JTBと株式会社ジェーシービーの合弁会社である株式会社J&J事業創造と株式会社手塚プロダクション、NOBORDER.zタイアップし、手塚治虫氏の代表作である「鉄腕アトム」と鳥取県の観光名所などがコラボしたご当地NFTトレーディングカードをNFTマーケットプレイス『XANALIA』(ザナリア)で販売しています。鳥取県の魅力や文化を発信することを狙うほか、多言語対応することでコロナ禍からのインバウンド需要回復期を見据えた訪日外国人の好意醸成に役立てる狙いです。


 また交流人口の拡大に留まらないメタバースの活用も行っています。令和5年(2023年)2月に、凸版印刷株式会社と共同で全国初となる都道府県立の障がい者アートに特化した360°バーチャル美術館「鳥取県立バリアフリー美術館」をインターネット上に開設しました。作品解説の音声読み上げや手話による翻訳、作品を自動で閲覧する機能、作品を表示する際の色調変更機能などを実装し、仮想空間上だからこそできる機能をフル活用することで、様々な障がいを抱える方に対応したバリアフリー機能を有するバーチャル美術館を整備しました。


まとめ

 メタバースの活用は地方自治体にとって大きな可能性を秘めた新たな試みであり、新たな交流が生まれることで地域の発展と市民の幸福につながる可能性があります。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「g-Finder」を活用した調査サービス「g-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。


執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

<総務省HP:16 自治体発の「メタバース課」を設立、「メタバース関係人口」創出に取り組む 【鳥取県】>

<鳥取県HP:メタバース課>

<鳥取県HP:『鉄腕アトム』NFTメタバースゲームで観光振興・地域活性化!日本各地をテーマにしたご当地NFTの共同開発・販売を開始>

<鳥取県HP:全国初「鳥取県立バリアフリー美術館」のグランドオープン!>

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