top of page

自治体職員のリスキリング 地方創生推進のために求められる力は



はじめに

 近年、ニュースなどで目にする機会の増えた「リスキリング」。職業能力の再開発・再教育のことを意味し、DX化が進む中で今後求められる能力やスキルを新たに修得してもらおうという意味合いで使用されることが多いです。日本経済が伸び悩む中で打開策として大きな期待が寄せられていますが、総務省が地方自治体でのデジタル人材の育成に向けて地方公務員のリスキリングを促す方針を固め、同年秋に改定する予定である自治体向けの「人材育成基本方針策定指針」にその内容が盛り込まれるとの報道が令和5年5月にされました。リスキリングをてこに地方創生を推進したいという国の方向性が示された中で、今回は指針の改定内容や自治体職員に求められるリスキリングの方向性、関連した官民の動きを解説していきます。


自治体職員のリスキリングを巡る動き

 現在の指針は人材育成目的の明確化や職員研修の充実、人材育成推進体制の整備などが定められたものとなっていますが、今秋の改定では人材確保、能力を発揮しやすい職場環境などの要素が新たに盛り込まれる予定で検討が進められていると報じられています。


 具体的な改定内容についてですが、人材育成面ではDX人材の確保に向けた公務員のリスキリングの他にも民間との兼業や人事交流の推進などの内容が盛り込まれる予定とされています。DXに対応できる人材が官民双方からニーズが高まり確保が難しくなっていく中で、なんとか内製していきたいという総務省の考えが伺えます。


 他の改定内容としては、人材確保の面では中途・経験者採用や任期付き採用などの活用で専門知識を有する人材の採用形態を多様化していくこと、規模の小さい複数の自治体で採用試験を共同で開催することなどが新たな取り組みの方向性として記載される予定です。さらに現在の職場環境や勤務環境をより充実させる目的で、コロナ禍以降も定着しつつあるテレワークの活用やフレックスタイム制のように職員の要望に応じて柔軟な勤務時間の設定を可能にすることなどにも言及する見通しとのことです。


 続いて、自治体職員のリスキリングに関連する動きを見てみましょう。埼玉県では県議会令和4年2

月定例会で、県が「県では、基礎的な研修からAIなどの先進技術を学ぶ研修まで行ってきた。取り組みを更に強化するため、必要な人材像を明確にして中長期的な育成方針を定め、計画的に資質向上を図り職員自ら課題解決ができるようリスキリングに積極的に取り組む。」との答弁をしており、既に進めている研修等の内容を拡充していく方針が示されています。


※『埼玉県令和4年2月定例会3月1日-05号』 p.423 より引用


 民間の取り組みとして注目されているのは株式会社ベネッセコーポレーションです。同社は令和2年から「Udemy Business」を活用した行政・自治体向け人材育成プログラムを提供していたことで自治体職員のリスキングに関するノウハウを有しており、リスキリングに取り組んでいる自治体同士の事例や知見の共有、情報交換を目的に先述の埼玉県や茨城県、名古屋市、広島市など全国45の自治体と合同で「全国自治体リスキリングネットワーク」を立ち上げました。このネットワークでは参加自治体に向けて、先進自治体や専門家による最新リスキング事例を共有するほか、自治体間の連携促進や取り組み事例・知見の共有の場として半期ごとのオンライン共有会の開催などを行うとしています。


まとめ

 指針改定を今秋に控える中、自治体職員のリスキングに関連する官民の動きが盛んになっています。日々の業務に追われる自治体職員のリスキング・DX人材の育成事例はそれほど多くはなく、先述のベネッセコーポレーションのように先行事例の知見を共有する取り組みも現れています。グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体への提案や入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。






出典:

<総務省HP:地方自治・新時代における人材育成基本方針策定指針>

<読売新聞:地方公務員も「DX学び直し」、民間との兼業・中途採用者も活用…国が指針見直しへ>

<埼玉県HP:議会議事録令和4年2月定例会03月01日-05号>

<ベネッセHP:全国自治体リスキリングネットワーク>

<PR TIMES:ベネッセ、全国45自治体と日本初の「全国自治体リスキリングネットワーク」発足中小企業・自治体におけるDX推進や市民のリスキリング支援を強化>

最新記事

すべて表示

こども家庭庁主催「もっと便利に!こども・子育てDX見本市(2024年12月20日~21日)」にG-techナビを出展します

グローカル社がご提供している官公庁専用ICT導入支援サイトの「G-techナビ(ジーテックナビ)」を、こども家庭庁が主催する「もっと便利に!こども・子育てDX見本市」に出展させて頂くことになりましたのでご案内いたします。 <開催概要>...

G-Finder(ジーファインダー)が地方創生SDGs官民連携プラットフォームにソリューションとして掲載

グローカル社がご提供している日本最大級の自治体情報データベースである地方創生SaaSの「G-Finder(ジーファインダー)」が、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム(内閣府 地方創生推進事務局)のWebサイトにソリューションとして、2024年10月16日に掲載されまし...

地方創生SDGs官民連携プラットフォーム(内閣府 地方創生推進事務局)の加盟団体となりました。

グローカル株式会社が、SDGsの国内実施を促進し、より一層の地方創生につなげることを目的に、広範なステークホルダーとのパートナーシップを深める官民連携の場として行われている「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム(内閣府 地方創生推進事務局)」の加盟団体となりました。...

bottom of page