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注目集めるチャットGPT 自治体・地方創生での活用は

更新日:11月17日

はじめに

 アメリカのOpenAIが対話型AIチャットボット「チャットGPT」が令和4年(2022年)11月に公開し、文章の生成や質問への回答、翻訳など様々なことに活用でき、その性能や便利さから注目を集めています。近年、人手不足や働き方改革の必要性が叫ばれて久しい中で、従業員の業務負担軽減や作業効率の向上を狙い大和証券やパナソニックホールディングスなどの民間企業ではチャットGPTの一部業務への活用が始まっています。一方、国や地方自治体では機密情報や個人情報を多く取り扱うため導入に向けた動きが鈍いかと思いきや、既に導入していたり、今後の導入に向けた検討したり、進める動きが目立っており、地方創生に役立てようとしています。今回はチャットGPTを活用している自治体、検討をしている自治体の動きやどのようなシーンで活用しているかなどをご紹介したいと思います。


チャットGPTを巡る自治体の動き

 既に導入している自治体の代表例が神奈川県横須賀市です。横須賀市では業務の効率化を狙い、令和5年(2023年)4月に全国の自治体で初となる全庁でのチャットGPT試験導入を開始しました。1か月間の試験導入の結果、約8割の職員が「仕事の効率が上がる」「利用を継続したい」とアンケートに回答し、チャットGPTの本格実装が令和5年(2023年)6月から始まっています。


 では横須賀市で具体的にどのように利用されているのでしょうか。1つ目は横須賀市庁内や市民向け文書の作成です。担当する職員の業務習熟度にもよりますが、文書作成の所要時間が半分~数分の1に短縮できる可能性があるとしています。これまでは制度や過去文献の下調べなどに時間を要していましたが、チャットGPTを用いることで大幅に時間を短縮できるとのことです。2つ目はチャットGPTの回答をたたき台として活用した政策立案や政策を浸透させる標語・スローガンのアイデア出しなどへの活用です。推進すべき政策や広報するキャッチコピーなどをチャットGPTに尋ねると、網羅的な回答を得られるためアイデア出しの道具として有用性を感じているとのことです。


 他の自治体ではどのような動きをしているか見ていくと、茨城県つくば市でも横須賀市と同様に令和5年(2023年)4月から業務への導入が始まり、地元の筑波大学の協力を得てAIが文章生成で参考にしたと考えられる資料や出典を示す機能も追加するなど、独自の発展を遂げています。


 東京都では令和5年(2023年)4月に小池百合子都知事が記者会見で活用を検討する旨の発言をし、東京都庁内のデジタルサービス局でプロジェクトチームを立ち上げて利用上のルールなどを検討していくとしています。東京都内では江戸川区が令和5年(2023年)7月に業務でのチャットGPTの利用を23区で初めて解禁しています。また福井県と福井県内の17自治体は中日新聞の取材に対して、「利用に前向きだ」と6割以上の自治体が回答しており、福井県と越前市、勝山市では既に導入されています。


まとめ

 チャットGPTは2022年(令和4年)11月に公開され、情報漏洩の恐れがあるなど利用に一定のリスクがあるにも関わらず翌2023年(令和5年)には多くの自治体が導入の動きを見せるなど急速に普及が進んでいます。まさに自治体にとってまさにトレンドの中心になっていると言えるでしょう。このような自治体のトレンドを見逃さないよう、グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用した調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



出典:

<共同通信:横須賀市、チャットGPT試験導入全国自治体で初>

<横須賀市HP:ChatGPTの全庁的な活用実証の結果報告と今後の展開(市長記者会見)(2023年6月5日)>

<日経クロステック:横須賀市・つくば市が全面導入、ChatGPTは人手不足に悩む自治体の救世主になるか>

<日本経済新聞:江戸川区、チャットGPTを解禁文章要約・情報整理に23区で初>

<朝日新聞:東京都もChatGPT導入検討へPT設けルール作り>

<中日新聞:県内自治体、チャットGPTの業務利用に6割超が前向き>

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