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自治体でのキャッシュレス決済導入―その意義と成果は



はじめに

 近年、キャッシュレス決済の利用が急速に拡大しています。現金を使わずに電子マネーやクレジットカードを利用することで、支払いの手続きがスムーズになり、消費者にとって非常に便利な環境が構築されています。このような流れの中、経済産業省は「公共施設・⾃治体窓⼝におけるキャッシュレス決済導⼊⼿順書」を令和2年(2020年)に策定し、地方自治体でのキャッシュレス決済導入を推し進めてきました。また、令和4年(2022年)度第2次補正予算のデジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプでもキャッシュレス決済は交付金の対象事業となり多くの自治体が導入に向けて動いています。これらのことから、重要な国策として積極的に推進してきたことが分かります。今回は自治体でのキャッシュレス決済導入について、その必要性を振り返りながら既に導入した自治体の事例を見ていきたいと思います。


自治体でキャッシュレス決済導入の必要性と事例

 まず自治体におけるキャッシュレス決済導入の必要性について考えていきます。先述の公共施設・⾃治体窓⼝におけるキャッシュレス決済導⼊⼿順書では、⾃治体にとっての導入⽬的・メリットとして「住民サービスの向上」、「地域活性化」、「事務効率化」の三つが挙げられています。しかし、自治体側としては最も関心の高いであろう事務効率化に関しては、「単に納付⼿段としてキャッシュレスを追加しただけでは事務負担が増えるとの指摘も寄せられていることからも、地域の状況によっては、キャッシュレス決済⼿段の導⼊により、直ちに事務効率化につながらないこともある点に留意する必要がある。」としています。そこで必要になるのが窓口決済全体のシステムをどのようなパッケージにするかという視点です。キャッシュレス決済とPOSレジや自動支払機などを併せて導入し、既存の会計システムと連携することで、業務負担の大幅な軽減につなげることに成功している自治体も存在しており、手順書でも「真に事務効率化を進めるための⼿段の一つとして、周辺機器等の整備も視野に⼊れた検討を推奨する。」としています。


 続いて、実際にキャッシュレス決済を導入した自治体の事例を見ていきましょう。東京都では都政構造改革プロジェクトであるシン・トセイ戦略の一環でファックスレス、はんこレスなどの取り組みと合わせて、「5つのレス徹底推進プロジェクト」としてキャッシュレス決済の導入を進めてきました。令和4年(2022年)3月末時点で78個あるすべての都立施設で導入を終えており、今後もキャッシュレス決済の利用状況を定期的に調査・分析し、組織全体の業務の進め方などを見直すBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)をすることでより便利で快適なサービスを実現する中で、キャッシュレスへの対応を加速していく方針としています。


 また静岡県浜松市では令和元年(2019年)に定めた浜松市デジタルファースト宣言の中で、市民サービス向上の取り組みとして「電子決済の推進」を盛り込み、キャッシュレス決済導入を進めてきました。令和3年(2021年)10月から各区の区民生活課などで順次導入を開始し、使用可能な施設は現在でも拡大し続けています。


まとめ

 地方自治体におけるキャッシュレス決済導入は、地域の活性化や行政サービスの効率化、など、多くのメリットが期待される取り組みです。デジタル田園都市国家構想交付金事業が令和5年(2023年)度以降に新規募集された場合には、現在導入していない自治体からのニーズが高まると考えられます。


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執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

<経済産業省HP:公共施設・⾃治体窓⼝におけるキャッシュレス決済導⼊⼿順書(第3版)>

<東京都HP:進捗状況(2023年1~3月):5つのレス徹底推進プロジェクト>

<浜松市HP:浜松市「デジタルファースト宣言」>

<浜松市HP:キャッシュレス決済の導入・拡充>

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