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地域中小企業のDX推進に向けたさいたま商工会議所の取り組み

はじめに

 地方の中小企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が、地域経済の活性化と企業競争力の向上に大きな可能性を秘めています。近年、急速な技術の進化により、DXは企業経営において不可欠な要素となりつつあります。それに伴い、地方の中小企業もDXの重要性に気づき、積極的な取り組みを始めています。


ただし、地方の中小企業がDXを進めるためには、いくつかの課題があります。まず、技術の導入やデータの活用に関する知識やノウハウが不足していることが挙げられます。また、中小企業は限られた予算と人材で運営しているため、DXへの投資や人材育成には慎重な判断が求められます。こうした課題を乗り越えるためには、関連団体やパートナー企業との協力が重要です。本稿では、さいたま市を事例にパートナー企業との連携による中小企業のDX化推進事例を見ていきましょう。


さいたま市の事例

 さいたま市の中小企業を支えるさいたま商工会議所では、地域の中小企業における「人手不足」「デジタルリテラシー不足(後継者の高齢化)」等を理由として、中小企業のDX化が遅れていることが課題となっていました。そこで、さいたま商工会議所はNTT東日本と協業し、中小企業にニーズの高い「RPA」※₁「OCR」※₂「クラウドストレージ」※₃「サポート」※₄のDXソリューションを、さいたま商工会議所にてパッケージ化・提供する支援を行い、中小企業へDX普及を行う仕組みを作りました。

 さらに、業務代行支援として、地域の中小企業に対するコンサルティング活動を通じたDXパッケージの普及活動、ウェビナー等によるDX啓蒙活動ならびに、商工会議所様の所内業務のDX化(業務効率化)推進等について取り組んでいます。 これらDX化を推進するツール・ソフトは「SAI-デジ」として整備され、令和3年(2021年)10月1日より提供を開始しています。


このような一連の取り組みはさいたま市、さいたま商工会議所、NTT東日本で締結された「さいたま市における地域のデジタル化推進に向けた連携に関する協定書」(令和2年 (2020年)9月24日)に基づき、「身の丈IT支援事業」として「SAI-デジ」の導入のみならず、 ITのコーディネーター等が中小企業を訪問し、各企業の課題解決に資する最適なITツールの導入提案(コンサルティング)・実装支援を行う「身の丈IT診断」、「身の丈IT診断」により提案したITツール等のアフターフォローを行うとともに、ITに係る新たな課題の抽出、解決策の提案を継続的にサポートする体制も整備されています。




※₁「RPA」サービスはWindows端末上のさまざまな業務を自動化でき、作業時間や人的コストの削減、業務の品質向上を図ることができます。トライアルでは従来の47%~83%の作業時間削減を実現しました。


※₂「OCR」は手書き書類や帳票の文字読み取りを行い、データ化するAI技術を使ったサービスです。 大量の書類のデータ化により帳票処理業務の稼働を削減することができ、ディープラーニング、住所DB等を用いた補正による高い識字率(トライアルでは96%以上の識字率)を実現しています。


※₃「ストレージ」は従来のファイルサーバやNASと変わらない運用を実現し、安全にインターネットを介してどこからでも利用できるクラウドストレージサービスです。慣れ親しんだデスクトップと同じ感覚で使える高い操作性が特長で、大切なデータは強固な情報セキュリティ対策のもと国内にて保管しています。


※₄「サポート」はパソコンなどのIT機器・ソフトウェアの使い方からトラブルまで、まとめてサポートします。トラブルの発生状況に応じて、訪問での故障箇所の特定や代替機の貸し出しも可能なので、オフィスのトラブル時だけでなく、テレワーク環境等でのトラブル時のサポートを受けることができます。

まとめ

 商工会議所のような地域の中小企業会員を抱える団体を支援する活動(業務代行支援)を通じて、地域のDX化を推進することは非常に重要な取り組みです


 グローカル社では、このような自治体の情報を横断して一括検索できるツール「g-Finder」を活用した調査サービス「g-Finderレポート」を提供しています。自治体への提案や入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。


出典:

<さいたま商工会議所HP:DXツール SAI-デジ>

<NTT 東日本HP:地域の中小企業におけるDX推進に向けたNTT東日本とさいたま商工会議所との協業について>

<さいたま商工会議所HP:さいたま市における地域デジタル化推進に向けた 「身の丈IT支援事業」の開始について>

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