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地方自治体のスポーツDXの取り組みー埼玉県久喜市の事例



はじめに

 近年、スポーツは令和3年(2021年)に開催された東京オリンピック・パラリンピック2020をはじめ、各種スポーツの世界大会やプロリーグが大きな盛り上がりを見せています。今回取り上げる久喜市の事例では、地域社会におけるスポーツ振興の取り組みに、デジタル化を取り入れた先進事例を紹介したいと思います。デジタル技術を活用して、地域内におけるスポーツ実施率の向上を目指し、「健幸・スポーツ都市」の実現を目指した取り組みとなります。


地方自治体のスポーツDXの取り組みー埼玉県久喜市の事例

 埼玉県久喜市は、平成22年(2010年)に、久喜市、菖蒲町、栗橋町、鷲宮町が合併して現在の久喜市となりました。久喜市は、関東平野の中央に位置しており、気候の特徴は、夏は「高温多湿」、冬は「低温乾燥」の地域となっています。自然豊かで、四季折々の花が楽しむことができて、久喜菖蒲公園などの緑豊かな公園もあります。

 久喜市では、スポーツ政策として「健幸・スポーツ都市」宣言が掲げられています。宣言では、「スポーツや運動等を通じて誰もが心身ともに健康となり、躍動する活気あふれるまちを目指す」とされています。その宣言の趣旨に則って、令和5年(2023年)1月からデジタルスポーツマシンを活用したスポーツ実施率向上及びフレイル予防プログラムの構築を目指した取り組みが、久喜市とエアデジタル株式会社、株式会社安藤・間との3者間での連携協定のもとで行われています。「フレイル予防」とは、要介護状態になる前に早期から予防をするための取組です。従来の介護予防をさらに進めた考え方となります。

 具体的な内容として、エアデジタル株式会社は令和4年(2022年)4月に市内商業施設アリオ鷲宮内にデジタルスポーツジム「スポーツ60&スマート」をオープンしました。デジタル技術を駆使したスポーツマシンは各種メディアでも注目を集めています。株式会社安藤・間は、エアデジタル株式会社のデジタル技術を活用したフレイル予防プログラムの構築に着目し、出資及び共同開発を行っています。令和5年(2023年)5月には、「寝たきり回避セミナー」が開催され、理学療法士によるフレイル予防講演や、デジタルスポーツマシンを用いた体験会が催されました。

 久喜市議会令和5年(2023年度)定例会(2月会議)2月26日-02号では、梅田修一市長から「本市が提案した地域の企業、団体の協力で実施したイベントやデジタル技術を活用した健康増進の取組が評価され、スポーツ庁のスポーツ健康まちづくり優良自治体表彰2022を埼玉県で初めて受賞できたことを大変うれしく思っています。このような時流に沿った取組をさらに推進するため、協定を締結している民間企業やプロスポーツチームと連携したイベントの充実やデジタルスポーツマシンを活用した健康増進プログラムの構築を進めてまいります。」と答弁されるなど、久喜市として力を入れた取り組みであると確認することができました。


 久喜市のスポーツ振興予算は、377,828千円(スポーツ振興費)が計上されています。関連性がある予算のスポーツ振興費の内訳としては、生涯スポーツ推進事業は780千円、スポーツ活性化事業は3,586千円が充てられています。久喜市のデジタルスポーツを活用した取り組みは、スポーツ庁の「スポまち!長官表彰2022」をテーマ「地域内連携やデジタル技術を活用したスポーツ・健康まちづくり!」で受賞されているなど、全国からも注目を集めています。また、他の取り組みとしては、「第3次久喜市情報化推進計画」で、公共施設予約システムで、文化・スポーツ施設等の空き状況の確認や利用申込について、デジタル化を推進していく旨が記載されています。


まとめ

 今回取り上げた久喜市の事例は、スポーツ庁から令和4年(2022年)に表彰されるなど全国的にも注目度の高い、先駆的な取り組みとなっています。スポーツは、昨今の地方自治体施策として注目を集めているeスポーツが推進されている事例は多くありますが、体を実際に動かすスポーツの領域においても、デジタル化が推進されていることを知ることができる事例として紹介をしました。

このような自治体のトレンドを見逃さないよう、グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用した調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。


執筆者 平峯 佑志 Yushi Hiramine

スポーツ&ヘルスケア関連の事業会社を創業メンバーとして起業、新規事業立ち上げ/経営企画/WEBマーケティング/法人営業・自治体営業/知的財産管理等の業務に従事。スポーツ専門研究機関のシンクタンクでのPM業務を経てグローカルにジョイン。

グローカルに参画後は、健康管理システムのソリューション営業の型化/営業支援体制の構築支援、自治体向けの情報プラットフォームの営業支援/PM業務、公募調査ツール「G-Finder」の企画開発業務に従事



出典:

<久喜市「健幸・スポーツ都市」宣言>

<久喜市「デジタル×スポーツの可能性を探ります」>

<久喜市「デジタルスポーツマシンでフレイル予防」>

<久喜市議会 令和5年(2023年)定例会(2月会議)2月26日-02号>

<久喜市「第3次久喜市情報化推進計画」>

<久喜市「令和5年度久喜市予算」>

<スポーツ庁「スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰」>

<全国青年市長会「埼玉県久喜市『デジタルスポーツを活用したスポーツ実施率の向上及び健康増進』」>


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