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デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―大阪府豊中市



はじめに


 安倍晋三元首相が提唱した「地方創生」の後継的な政策で、岸田文雄首相の下で推し進められている「デジタル田園都市国家構想」。この構想は、AI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)など最新のデジタル技術を駆使して地域ごとの魅力を維持しながら、利便性や住民サービスの向上を目指すものです。この構想に基づいて全国の地方自治体が様々な取り組みを進めている最中であり、「デジタル田園都市国家構想交付金」制度を活用した神奈川県逗子市の防犯カメラを使った人流把握事業石川県津幡町のAIが運行ルートを管理するオンデマンドバスの導入岐阜県羽島市のメタバース(仮想現実)による不登校児童生徒向けの居場所づくりなど、ユニークな事例を取り上げてきました。今回は大阪府豊中市のマイ・タイムライン作成支援の取り組みについて見ていきたいと思います。



豊中市の取り組み


 豊中市は大阪府北部の豊能地域に立地している自治体で、中核市に指定されています。人口は令和5年(2023年)1月の時点で約407,000人を有しており、大阪府の中で4番目の人口規模を誇ります。大阪市の都心から15Km圏内と程近く、市内を阪急電鉄・北大阪急行・大阪モノレールが通る交通の便の良さから、衛星都市・ベッドタウンとして非常に人気がある都市です。また、大阪国際空港(伊丹空港)が立地している都市としても知られています。

 

 この豊中市ではデジタル田園都市国家構想交付金を活用して、「デジタル版マイ・タイムライン作成⽀援サービスによる避難誘導の充実」事業を開始しました。「マイ・タイムライン」とは、「住民一人ひとりの防災行動計画で、台風などの接近による大雨によって河川の水位が上昇する際に、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列に整理し、自ら考えて命を守る避難行動の一助とするもの」と国土交通省は説明しています。この概念は、平成27年(2015年)に発生した関東・東北豪雨での避難の遅れや避難者の孤立などの事態を受けて、国や県、鬼怒川・小貝川の沿川市町でつくる「鬼怒川・小貝川下流域大規模氾濫に関する減災対策協議会」が住民一人ひとりの単位で水防災に関する知識や心構えを持って事前の計画などを促すツールとして開発しました。


 今回の豊中市の事業では、このマイ・タイムラインをWeb上から簡単に作成できるシステムを導入します。豊中市が提供している公開型GIS「地図情報とよなか」の内部に組み込む形となっており、使い方を見てみるとまず地図情報とよなかにアクセスし、「マイ・タイムラインを作成する」という項目を開いて、利用規約に同意すると画面上に地図が表示されます。この地図上から自宅や勤務地など、調べたい場所をクリックして選択します。場所を選択すると、自動で浸水や土砂災害などあらゆる災害リスクの判別が行われます。災害リスクがある場合のみマイ・タイムラインの作成へと進み、災害が発生する前日や災害が発生する直前に済ませておく行動や地図上から災害が発生した際の避難先などを入力します。これらの作業を終えると作成したマイ・タイムラインがPDFデータとして表示され、PC上に保存したり印刷して自宅に張り出したりなど、自由に使うことができるような形で出力されます。マイ・タイムラインの作成にかかる手間や時間を大幅に削減することを実現し、市民が気軽にマイ・タイムラインを作成することで市民の防災意識の向上も目指すものとしています。


 豊中市ではこの事業にデジタル田園都市国家構想交付金から5,600千円分の採択を受けており、令和5年(2023年)度予算の風水害対策費11,416千円の中に事業費が組み込まれています。また「豊中市公開型GIS向けマイ・タイムライン作成支援ツール追加業務」として随意契約が行われ、地図情報とよなかを構築した株式会社インフォマティクス大阪営業所と契約額6,160千円で契約が結ばれています。令和5年(2023年)9月からマイ・タイムライン作成ツールは豊中市のHP上で公開されており、長内繁樹市長自らが出演する動画をYoutube上で発信するなど広報に努めています。今後どの程度利用されたかなど、導入後の成果に注目が集まります。



まとめ


 日本では大雨や台風などの災害が年々激甚化する中、その一方で高齢化の影響で災害時の避難行動に支援が求められる「要配慮者」は増加の一途をたどっており、地方自治体は難しい対応を迫られています。災害発生時には自治体の対応にも限界が来てしまう中で、住民自身の自助に向けて防災意識を高める取り組みは今後さらに注目を集めていくのではないでしょうか。


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執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

国土交通省HP:マイ・タイムライン

豊中市HP:いつ起こるか分からない災害に備えて マイ・タイムラインの作成を支援

豊中市HP:マイ・タイムラインを作成してみましょう(令和5年9月1日)

豊中市HP:豊中市デジタル予算書

豊中市HP:豊中市公開型GIS向けマイ・タイムライン作成支援ツール追加業務

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)交付対象事業の概要 分野・都道府県別(令和4年度第2次補正予算)大阪府

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