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デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―奈良県生駒市

はじめに


 現在、日本全国の地方自治体が取り組みを進めている「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などの最新のデジタル技術を活用して、地域それぞれの魅力や特性を損なわないようにしながら利便性や住民サービスの向上を目指すものです。本ジャーナルでも力を入れて特集を続けており、愛知県田原市の市内の保育園・児童クラブ向けにICTシステムを導入して業務を支援する事業大阪府箕面市の学習支援ソフトなどを導入するオンライン授業環境の整備兵庫県姫路市のタブレット端末などを活用して「スマート窓口」を構築する取り組みなどの事例を紹介してきました。今回は奈良県生駒市のLINEを活用した広報の取り組みについて見ていきたいと思います。



生駒市の取り組み


 生駒市は奈良県の北西部に位置する自治体で、大阪府との県境を接している自治体です。人口は令和5年(2023年)12月の時点で奈良市、橿原市に次ぐ県内3位の約115,000人を有しています。近鉄奈良線や近鉄生駒線の列車が停車する生駒駅が立地し、快速急行で大阪市内まで15分程度でアクセスできる利便性からベッドタウンとして人気のある都市として知られています。


 この生駒市ではデジタル田園都市国家構想交付金を活用して「LINEのさらなる利活⽤事業」を開始しました。生駒市では従来からソーシャルネットワークサービス(SNS)であるLINE(ライン)の公式アカウントを有しており、市議会議事録より令和5年(2023年)3月の時点で約21,000人の市民が登録していました。既存の公式アカウントは機能が新型コロナウイルスや新型コロナウイルスワクチン接種に関連する情報の発信のみに留まっており、コロナ禍が終息した現在、役目を終えつつありました。今回の事業で生駒市はこのLINEアカウントを改修して、ごみや防災などの市民から特に関⼼が⾼い情報を簡単に閲覧できるようにするなど、市⺠が生活に役立つ情報を収集する際の利便性向上を図ります。


 具体的な取り組み内容を見ていきたいと思います。1つ目がいわゆるリッチメニューの創設です。電子申請や施設検索、ごみ関連情報などにアクセスできる「基本メニュー」と避難所検索機能や市内に発令されている避難情報、気象情報などの閲覧ができる「災害メニュー」の2種類を設け、市民ニーズの高いホームページやリンク先に飛べるようにリンクをつなぐとしています。2つ目がセグメント配信機能の追加です。市のホームページのCMSなどと連携して、利用者があらかじめ子育て情報やイベント情報、健康情報のような必要な情報のジャンルなどを選んでおけば、市のホームページで情報が更新されたときに自動的にLINEでも配信される仕組みとなっています。さらにごみアプリ機能も搭載する予定で、居住している地域を登録することで毎⽇のごみ収集⽇程が分かり、利用者にアラートが届くように設定することも可能です。


 またこれらの機能をスマートフォンに不慣れな⾼齢者にも利用してもらえるよう、生駒市の主催で「スマホ教室」を開催します。講師に質問などがしやすいような少人数での開催とし、スマートフォンの操作だけでなくLINEを活⽤して市の情報を得られるように直接的なサポートを実施します。


 生駒市では今回のLINEのさらなる利活⽤事業に6,047千円分の採択をデジタル田園都市国家構想交付金から受けています。また令和5年(2023年)度予算にも「LINE改修・運用管理」を含む広報広聴として47,257千円を計上しています。「生駒市LINE公式アカウント情報配信システム構築・運用業務委託に係る公募型プロポーザル」と「生駒市公式LINE利活用スマホ教室運営業務委託に係る公募型プロポーザル」がそれぞれ実施されており、前者は株式会社BotExpressが受託候補者として選定され、後者は現在選定作業が続けられています。生駒市LINE公式アカウントのリニューアルが令和5年(2023年)の9月に既に実施されており、この事業による成果がどのようなものになるのかに注目が集まります。



まとめ


 社会全体のデジタル化が進む中で、行政の情報発信のあり方も変化が求められています。従来型の広報誌のような情報発信に留まらない、生駒市のような多角的な情報発信のあり方を検討する自治体が今後も現れる可能性は少なくないのではないでしょうか。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

生駒市HP:生駒市議会議事録2023年03月16日:令和5年第1回定例会予算委員会(企画総務分科会)本文

生駒市HP:令和5年度予算案の概要

生駒市HP:生駒市LINE公式アカウント情報配信システム構築・運用業務委託に係る公募型プロポーザルの実施について

生駒市HP:生駒市公式LINE利活用スマホ教室運営業務委託に係る公募型プロポーザル

生駒市HP:生駒市LINE公式アカウントをリニューアル

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金交付対象事業の概要 奈良県

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