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デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―山梨県甲府市



はじめに

 令和3年(2021年)10月に岸田政権が発足し、間もなく2年の時が経過しようとしています。岸田首相が自民党総裁選から掲げてきた政策である、新自由主義(ネオリベラリズム)からの脱却を目指す「新しい資本主義」を実現するための根幹とされている「デジタル田園都市国家構想」も開始されてから時間が流れました。デジタル田園都市国家構想交付金を活用した事業も、全国の地方自治体で形になりつつあります。本ジャーナルでも、石川県金沢市のスマート林業推進事業の事例について取り上げてきました。今回は山梨県甲府市の取り組みに焦点を当てていきたいと思います。


甲府市の取り組み

 甲府市は山梨県の中央部に位置する自治体で、山梨県の県庁所在地として知られています。南北に長く伸びる市域を有しており、人口も令和5年(2023年)9月時点で山梨県内トップとなる約185,000人の人口を有しています。有力な戦国大名として知られている武田氏の根拠地だった躑躅ヶ崎館が立地していたことから、古くから国中地域や甲斐国の中心地として栄えてきた背景を持ち、江戸時代には五街道として整備された甲州街道の宿場町としても繁栄を続けてきた歴史ある都市です。


 この甲府市ではデジタル田園都市国家構想交付金を活用して、健康アプリや健康ポイントによる「マイナポータルを活⽤した健康づくり⽀援事業」に取り組んでいます。樋口雄一市長が政策提言に掲げた柱を具現化した新たな行政計画である「KOFU NEXT ACTION」の中でも、「本市の健康づくりを更に推進するため、健康管理を促すための健康アプリを令和5年度に導入するとともに、働き盛り世代の健康づくりを推進するなど、地域や団体等と連携し、みんなが元気で笑顔が絶えない『元気Cityこうふ』の実現を目指します。」との記載がされています。


 続いて具体的な取り組みを見ていきましょう。甲府市はマイナポータルを活⽤した健康づくり⽀援事業の軸に「健康アプリ」や「健康ポイント」を据えています。健康アプリでは歩数や体重、イベント参加など健康⾏動を記録し、⾃分の健康情報や⾏動記録の成果を⾒える化して⼀体的に確認することが出来ます。また、健康ポイントは健康アプリ内で健康⾏動に対してポイントを付与するインセンティブを設けることで、参加・継続の意欲を向上することを狙っています。また健康アプリと健康ポイントはマイナポータルに連携することが可能で、健康診断の受診による健康ポイントの付与などが行われる予定です。


 甲府市ではマイナポータルを活⽤した健康づくり⽀援事業に、デジタル田園都市国家構想交付金から3,479千円分の採択を受けています。「健康アプリの開発および運用等業務

公募型プロポーザル」も行われ、令和5年(2023年)8月7日に第1優先交渉権者を日本電気株式会社、第2優先交渉権者をエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社とする審査結果が発表されました。「甲府市健康アプリ開発及び運用等業務仕様書」によると、今後令和5年(2023年)10月中旬に健康アプリのダウンロード開始が予定されており、令和5年(2023年)11月1日には健康アプリ事業・健康ポイント事業を開始できるように進めていくとの見通しを示しています。


まとめ

 高齢化やそれによる医療費の膨張が課題となっている日本社会において、健康寿命の延伸などの健康振興策が地方自治体には求められています。今後、デジタル田園都市国家構想交付金の再公募などが行われた際には、甲府市のようにアプリケーションを活用した健康増進を試みる自治体がさらに現れるのではないでしょうか。


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執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

<甲府市HP:KOFU NEXT ACTION2023~希望ある未来へ~>

<甲府市HP:甲府市健康アプリ開発及び運用等業務公募型プロポーザルの審査結果について>

<甲府市HP:甲府市健康アプリ開発及び運用等業務仕様書>

<内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)交付対象事業の概要 分野・都道府県別(令和4年度第2次補正予算)山梨県>

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