top of page

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―京都府京丹後市



はじめに


 現在、日本全国の地方自治体で様々な取り組みが進められている「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などのデジタル技術を活用して、地域ごとの特性や魅力を損なわないようにしながら利便性や住民サービスの向上を目指すものです。「デジタル田園都市国家構想交付金」制度も新たに創設され、静岡県静岡市のメタバースを活用した移住促進事業愛知県西尾市の書かない窓口の構築岐阜県恵那市スマートスピーカーを活用した高齢化の見守りなど、様々なジャンルの取り組みが行われている最中です。今回は京都府京丹後市の公共施設予約システム導入事業について見ていきたいと思います。



京丹後市の取り組み


 京丹後市は京都府の北部に立地しており、京都府および近畿地方の最北端となっている経ヶ岬が市内に存在する自治体です。市域が京都府から北側に突き出た丹後半島のほとんどを占めています。市の北側には日本海が広がることから漁業が盛んな自治体として知られており、市内の間人(たいざ)漁港で水揚げされるズワイガニの高級ブランド品である「間人(たいざ)ガニ」などが有名です。また農業も盛んに行われている土地柄で、市内で生産された茶葉を100%使用した「京たんご茶」を売り出していることで知られています。


 この京丹後市はデジタル田園都市国家構想交付金を活用して、「マイナンバーカード対応施設予約システム導⼊事業」を開始しました。議会議事録などの情報から、京丹後市では従来から公共施設の予約システムを導入していましたが、空き状況の確認と使用したい日程の仮予約のみの機能に留まっていました。そのため、利用申請する際は実際に窓口まで足を運び本人確認をする必要がありました。また、施設管理者側の方でも窓口での対応や現金による利用料の管理、施設の鍵管理などの業務負担も発生することなどが課題となっていました。そこで、マイナンバーカードと連携した公共施設予約システムの導入が決まりました。


 今回、京丹後市が導入するのは株式会社スカラコミュニケーションズとxID株式会社が共同で開発した施設予約システム「PORTAL X」です。このシステムはマイナンバーカード連携によるオンライン完結の利用者登録が可能で、xID株式会社が提供しているマイナンバーカードを使用したデジタルIDソリューション「xID」でマイナンバーカードを読み取るなどの初回利用登録をすれば、以降はスマートフォンから生体認証やPINの入力をするだけで施設予約システムにログインすることができます。また、オンラインでの施設予約後にオンライン決済を使って使用料を支払うことが可能になり、利用者が現金を準備する必要や窓口に支払いに行く手間を削減します。さらに施設予約システムとスマートロックを連携することが可能になり、施設利用時間が迫ると施設予約システムからスマートロックを開錠するための暗証番号が届き、鍵の受け渡しの手間を削減できるとのことです。


 京丹後市では今回の事業にデジタル田園都市国家構想交付金から5,467千円分の採択を受けています。令和5年(2023年)度予算にも同額の5,467千円を計上しており、その内訳はシステム導入委託料が2,910千円、システム利用料及び決済手数料が1,757千円、スマートロック購入費が800千円となっています。PORTAL Xは令和6年(2024年)の1月から提供を予定しており、対象となる施設は地域公⺠館、体育館、グランドなどの40施設に及ぶとのことです。



まとめ

 デジタル田園都市国家構想交付金を活用した、公共施設への予約システムやスマートロックの導入は数多くの自治体が取り組んでおり、本ジャーナルでも福井県鯖江市の事例を紹介してきました。国からの補助金・交付金などが下りるタイミングでこれらのシステムを導入したい自治体のニーズは大きいことが予想されます。これらの自治体から発せられる情報に目を光らせておくことが、自治体からの案件を獲得する際には重要なのではないでしょうか。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

京丹後市HP:京丹後市議会議事録 令和5年予算決算常任委員会( 2月28日)

株式会社スカラコミュニケーションズHP:近畿初!マイナンバーカードと連携した施設予約システムを京丹後市で来年1月提供開始

京丹後市HP:令和5年度 一般会計予算総務部 主要事業説明資料

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)交付対象事業の概要 分野・都道府県別(令和4年度第2次補正予算)京都府


最新記事

すべて表示

観光・産業振興のためのeスポーツの推進ー神奈川県小田原市の取組

はじめに eスポーツ(electric sports)は、世界的に注目を集めています。近年、日本国内でも流行の兆しが見えてきており、日本のコンテンツ市場においても今後の成長産業として考えられ、様々な周辺産業への経済効果が期待されています。成長分野であるeスポーツに、小田原市として年齢・性別・障がいの有無に関係なく多くの人が楽しめるeスポーツに着目し、eスポーツを観光コンテンツとして様々な事業に取り

eスポーツでいい里づくり事業ー熊本県美里町の取組事例

はじめに 近年、eスポーツは地方自治体に、子どもから高齢者まで幅広い世代に向けた健康増進や就労支援等の領域で導入が進んでいます。eスポーツとは、「エレクトリック・スポーツ」の略で、主にコンピューターゲームやビデオゲームを使った大戦をスポーツ競技としてとらえる際の名称となっています。ゲームの特性上、年齢や性別、国籍、障害の有無に関わらず、誰もが参加できるのが特徴です。これまで本ジャーナルでも、地方自

神奈川県の子育て情報がLINEに一元化ー神奈川県の取組事例

はじめに 全国の地方自治体では、少子高齢化や人口減少の社会課題解決のための施策として、子育て支援に注力しています。子育て世代は、若い頃からスマホや携帯電話、PCに慣れ親しんでいる世代となっているため、高齢者世代に比べ自治体DXの施策は効果を発揮させていきやすいと言われています。今回紹介する神奈川県の事例は、県内在住者向けの子育て支援情報を「かながわ子育てパーソナルサポート」というLINEサービスで

Comentarios


bottom of page