top of page

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―大阪府泉大津市

はじめに


 岸田政権によって掲げられたマニュフェストである「新しい資本主義」を実現するための政策である「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などのデジタル技術を活用して、地域それぞれの魅力や特性を維持したまま利便性や住民サービスの向上を目指すものです。この構想を実現するため、「デジタル田園都市国家構想交付金」も創設され、全国の地方自治体がこの交付金を活用して様々な取り組みを進めています。本ジャーナルでも精力的に取り上げており、石川県金沢市のレーザーセンシング技術を活用したスマート林業の取り組み石川県小松市の小松駅と小松空港の間を結ぶ自動運転バスの実証岐阜県恵那市のスマートスピーカーを使った高齢者の見守り事業などを取り上げてきました。今回は大阪府泉大津市のスマートフォンアプリを使った健康づくり事業について見ていきたいと思います。



泉大津市の取り組み


 泉大津市は大阪府の泉北地域に位置している自治体で、令和5年(2023年)1月の時点で約73,000人の人口を有しています。江戸時代に真田紐をはじめとした繊維産業が興り、明治時代以降は毛布の製造が盛んに行われる「毛布のまち」として発展してきた、繊維産業が盛んな都市として知られています。


 この泉大津市はデジタル田園都市国家構想交付金を活用して、「健康づくり施策DX推進事業」に乗り出しました。泉大津市は市民の健康増進に力を入れている自治体で、令和4年(2022年)に「泉大津市健康づくり推進条例」を定めて、未病予防対策先進都市を目指した取り組みを行ってきました。泉大津市はかねてから注力してきたこの健康増進への取り組みを、デジタル田園都市国家構想交付金を活用して加速させる形となっているのが今回の事業です。


 続いて、具体的な施策内容を見ていきたいと思います。今回の事業で泉大津市は独自のスマートフォン用健康管理アプリケーションの提供を開始するとしています。機能としては、まず運動量などを数値化する機能を有する予定としており、歩⾏能⼒や体組成、体⼒、ストレス、認知機能などを測定し、年齢・性別に合わせて評価します。さらに測定結果に応じて使用者個人個人に合わせたトレーニングメニューも提案されます。次に実装を予定しているのが栄養状況を測定する機能です。ビタミンやミネラルなどの栄養素の摂取状況や酸化度のチェックなどをチャート化して提供し、足りていない栄養などがある際には必要な栄養素やおすすめの食材が提示されるとしています。


 泉大津市はこの事業にデジタル田園都市国家構想交付金から20,000千円分の採択を受けています。令和5年(2023年)6月から「泉大津市健康アプリ導入・運用業務プロポーザル」が開始。エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が優先交渉権者として選定されています。既にアプリを使って健康づくりを体感してもらうモニター300人の募集を令和5年(2023年)11月から開始しており、アプリ自体の配信も令和5年(2023年)12月から開始する予定としています。モニターになった際に、利用者自身の体質検査や足型計測と足の健康を診断するアンケート調査、体組成や認知機能、歩行など7項目から心身の健全年齢測定をするなどの特典を設けて、利用者を募っています。今後、実際にアプリが使用されてどのような成果が上がるのかに期待が寄せられています。



まとめ


 高齢化が深刻な日本社会において、健康増進策は自治体にとっての急務になっています。さらに地方部では高齢化の進行はより顕著であることが多く、地方部の自治体にはより早急な対応が求められています。泉大津市の事例のように、デジタル技術を活用して住民の健康増進を図る取り組みは今後さらに拡大していくのではないでしょうか。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

泉大津市HP:泉大津市健康アプリ導入・運用業務プロポーザルの実施について

泉大津市HP:泉大津市健康づくり推進条例

泉大津市HP:健康状態見える化アプリ「いずみおおつ マイ・レコ」300名モニター募集

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)交付対象事業の概要 分野・都道府県別(令和4年度第2次補正予算)大阪府

最新記事

すべて表示

全国初の自治体窓口DXSaaS実装!和歌山県紀の川市の事例

はじめに ニュースや書籍などで目にすることも多くなってきたDX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉。国では令和2年(2020年)に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」において、「将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること」と定義しています。このDX化の波は留まることを知らず、今や官民

地方創生と群馬のブランド力向上のためのeスポーツの推進ー群馬県の取組事例

はじめに 近年、eスポーツは地域産業の活性化や高齢者福祉、地域コミュニティの活性化に繋がるコンテンツとして地方自治体から注目が集まっています。ゲームの特性上、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関わらず、誰もが参加できるツールとして導入が進んでいます。これまで神奈川県横須賀市、東京都西東京市や荒川区の取組みを取り上げてきましたが、今回は群馬県が取り組む地方創生や群馬のブランド力向上のためにeスポーツを

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―奈良県生駒市Pt.2

はじめに 現在、日本全国の地方自治体によって取り組みが進められている「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などの最新のデジタル技術を活用して、地域それぞれの魅力や特性を損なわないようにしながら利便性や住民サービスの向上を目指すものです。この構想を実現するため「デジタル田園都市国家構想交付金」制度も創設され、交付金を活用して地域活性化や地方創生を図る

bottom of page