はじめに
近年、急速なテクノロジーの進化により、ドローン(無人航空機)は多くの分野で活用されるようになりました。その中でも、多様な行政サービスを提供しなければならない地方自治体においてもドローンの活用が注目されています。農業推進施策としてスマート農業での活用や災害時の情報収集、橋梁などのインフラ点検など様々な場面でドローンが用いられています。本ジャーナルではこれまでも、宮城県仙台市の防災分野での活用や神奈川県横浜市の管渠点検での活用など、地方自治体でのドローンの活用について紹介してきました。今回は栃木県さくら市を事例に地方自治体における最新のドローン活用の動きについて見ていきたいと思います。
さくら市の取り組み
さくら市は栃木県の中北部に位置する自治体で、平成17年(2005年)に氏家町と喜連川町が合併し誕生しました。人口は2022年(令和4年)時点で約4,3000人を有しており、30の自治体がある栃木県の中で14番目の規模を誇る自治体となっています。県庁所在地である宇都宮市の北東に隣接し、JR東北本線の氏家駅と蒲須坂駅の2つが立地しており、東京からも直線距離で120キロ程度とアクセスも良いです。
このさくら市では令和5年(2023年)に東日本電信電話株式会社(NTT東日本)栃木支店と「ドローンの多面的な利活用に関する共同事業」を実施すると発表しました。さくら市は「スマートな小都市(まち)宣言」を打ち出し、取り組みの一つとしてデジタル技術を活用した行政サービスの向上にNTT東日本栃木支店と「DX推進に関する連携協定」を結んで取り組んでいました。この事業では、NTT東日本グループでドローンのスペシャリスト集団である株式会社 NTT eDrone Technologyの協力を得て、農業や防災、観光、環境などの幅広い分野における行政課題の解決をめざし、ドローンの活用方法などについての調査および技術検証を行うとしています。
具体的な事業内容について見てみましょう。この事業に関して、「ドローンの活用が見込まれる分野の調査・研究」、「市職員のドローン操作技術などの人材育成支援」、「その他市民サービスの向上・業務効率化に関すること」の3つの項目について、連携を図るとしています。令和5年(2023年)度は、農業分野で農作物作付確認の現地調査の効率化に関する検証を行う予定とのことです。さくら市では平成30年(2018)年の時点で、建造物の外壁点検にドローンが活用されていたことがさくら市議会議事録から分かりますが、今後さらなるドローン活用の広がりが期待されています。
まとめ
地方自治体において、ドローンの活用は地域の課題解決や発展の一翼を担う重要な要素となりつつあります。災害対応や防災活動、農業・林業の効率化、観光振興、教育環境の拡充、交通インフラの点検など、多岐にわたる分野でドローンの可能性が広がっています。さくら市のように後発でドローンに関する施策を仕掛けていく自治体には、蓄積された先行事例の情報を集めることが、より効果的な施策実現に不可欠です。
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執筆者 グローカル編集部
地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。
グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。
出典:
<さくら市HP:03_定例記者会見資料>
<さくら市HP:さくら市 令和1年6月定例会(第1回)06月05日-02号>
<株式会社 NTT eDrone TechnologyHP:さくら市と東日本電信電話株式会社栃木支店が農業・防災・観光・環境などドローンの多面的な利活用に関する共同事業についての協定を締結>
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