top of page

ドローンを活用した作付け確認の効率化 佐賀県白石町の事例



はじめに

 近年、技術の進化によりドローン(無人航空機)の利用が広がり、その活用範囲は多岐にわたっています。特に、日本の地方自治体でもドローンの活用が進みつつあり、さまざまな分野で効果的な活動が行われています。農作物への農薬散布や災害対策としての活用など、ジャンルを問わず多くの場面で活躍できる、地方創生につながるツールとして自治体から注目が集まっています。本ジャーナルでも、宮城県仙台市の災害対策分野での活用神奈川県横浜市の下水道点検に用いる事例などを紹介してきました。今回は佐賀県白石町での取り組みについて見ていきます。


白石町の取り組み

 白石町は佐賀県の南西部に位置する自治体で、平成17年(2005年)に旧白石町、福富町、有明町の3町が合併して誕生しました。町内には広大な白石平野が広がり、南東には有明海を臨む自然豊かな町です。この白石平野は粘質土壌が特徴で、米・麦、野菜、施設園芸などの農業に非常に適した土地となっており、一次産業が盛んな地域です。佐賀県の名産品でイチゴの「さがほのか」や粘土質の土壌が栽培に適しているとされるレンコン、生産量全国2位の佐賀県で県内生産量の7割近くを生産している玉ねぎなど、多くの農産物を生産しています。


 この農業の盛んな白石町では、二毛作などで栽培する麦の作付面積を確認する作業が非常に負担になっていました。麦の作付面積に応じて交付金を交付する必要があるため、毎年2~3月は白石町職員が現地のほ場まで訪れ、農家から提出された申請とほ場への作付けが合致しているかの確認を行い、その後現地で確認した内容やデータの整理をして農家への交付金の支給を行っていました。ほ場の現地確認に多くの時間を要していたため交付金の支払いに遅れが生じるなど、課題となっていました。また制度改正によって、交付金の交付対象となる農作物の種類が増加したことで確認が必要となるほ場の数が増えてしまい、ますます給付するまでの時間がかかってしまうことへの懸念も上がっていました。


 そこで白石町が開始したのが、ドローンを活用したほ場の確認作業です。新しいシステムでは、まずドローン事業者である株式会社オプティムが町内の農地の写真を撮影。その後、撮影した写真データと農地のデータを管理システムにセットすると、町職員がパソコンの画面上でドローンが撮影した画像と農地データを見比べながら、作付状況を確認出来るようになりました。これにより、従来よりも30日程度短縮することができるようになりました。従来は町内の作付けされたほ場の確認に20日間程度、その後のデータの整理などで14日間ほどがかかってしまう場合もありました。ドローンを活用してからは、写真撮影に3日間程度で、パソコンでの作付け状況の確認作業までを合計すると概ね7日間程度で作業が完了できるようになり、農家への交付金などの早期支払いに向けて効果がありました。


まとめ

 今後は、ドローン技術の進化や制度の整備に伴い、さらなる活用が期待されます。地方自治体は、これらの技術を適切に活用しつつ、地域の発展と市民の安全を両立させるための方策を模索していくことでしょう。白石町のようにドローンを活用することで、市民サービスを向上させる自治体も現れています。今後、市民サービス向上を狙い、ドローンを活用する自治体はさらに増加することが考えられるでしょう。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「g-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「g-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

<内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局:ドローンを活用した作付け確認の取り組み>

<白石町HP:広報白石NO.172>

最新記事

すべて表示

eスポーツでいい里づくり事業ー熊本県美里町の取組事例

はじめに 近年、eスポーツは地方自治体に、子どもから高齢者まで幅広い世代に向けた健康増進や就労支援等の領域で導入が進んでいます。eスポーツとは、「エレクトリック・スポーツ」の略で、主にコンピューターゲームやビデオゲームを使った大戦をスポーツ競技としてとらえる際の名称となっています。ゲームの特性上、年齢や性別、国籍、障害の有無に関わらず、誰もが参加できるのが特徴です。これまで本ジャーナルでも、地方自

神奈川県の子育て情報がLINEに一元化ー神奈川県の取組事例

はじめに 全国の地方自治体では、少子高齢化や人口減少の社会課題解決のための施策として、子育て支援に注力しています。子育て世代は、若い頃からスマホや携帯電話、PCに慣れ親しんでいる世代となっているため、高齢者世代に比べ自治体DXの施策は効果を発揮させていきやすいと言われています。今回紹介する神奈川県の事例は、県内在住者向けの子育て支援情報を「かながわ子育てパーソナルサポート」というLINEサービスで

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―和歌山県御坊市

はじめに AI(人口知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などの最新のデジタル技術を活用して、地域ごとの魅力や特性を損なわないようにしながら利便性や住民サービスの向上を目指す「デジタル田園都市国家構想」。岸田文雄首相が開始した政策で、現在地方創生や地域活性化に向けて取り組む自治体の政策の柱となっています。「デジタル田園都市国家構想交付金」制度も創設され、全国の地方自治体がこの交付金を活用して、様々

Comments


bottom of page