top of page

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―愛知県名古屋市

はじめに


 本ジャーナルでも、精力的に取り上げてきた「デジタル田園都市国家構想」。ICTやAI(人工知能)などのデジタル技術を活用し、地域の魅力を維持しながら利便性の向上や地域活性化などを目指す取り組みです。この構想を実現するため「デジタル田園都市国家構想交付金」制度も創設され、全国の地方自治体で様々な事業が行われています。ドローンを防災分野に活用する福井県の「ふくいの空から県⺠を守るドローン防災事業」石川県小松市の小松駅と小松空港を結ぶ自動運転バスの実装岐阜県岐阜市が独自に進めているGIGAスクール構想の実現など、それぞれの自治体ごとに特色のある取り組みがなされています。今回は愛知県名古屋市の事例について見ていきたいと思います。



名古屋市の取り組み


 名古屋市は愛知県の北西部の尾張地方に位置する都市で、愛知県の県庁所在地です。人口は令和5年(2023年)9月の時点で約232万人を数え、東京都の特別区を除くと横浜市、大阪市に次ぐ全国第3位の人口を有する、言わずと知れた日本でも指折りの大都市です。中心市街地の栄地区は中部地方最大の繁華街として知られ発達した市街地を有している一方、日本最大の工業地帯である中京工業地帯も立地していることから2次産業も非常に盛んな地域です。


 この名古屋市には市政70周年を記念して建設された「名古屋市科学館」が存在しています。世界最大級のプラネタリウムなどを有する、非常に魅力的な地域資源となっています。今回、名古屋市は発券に使用している機械類の更新に合わせて、デジタル田園都市国家構想交付金を活用して「科学館発券システムの再構築」事業に取り組むとしています。この事業では来館者の利便性向上や科学館職員・スタッフの業務効率の向上、来館者サービスへの還元を図るため、各種観覧券をWEB購⼊できるようにして、発券窓⼝での待ち時間を減らすことで来館者がスムーズに⼊館できるようにするものです。


 具体的なシステムの内容を見ていきます。WEB上からの予約受付に対応した、公共施設など向けの新たなチケッティングシステムを導⼊。電⼦予約サイトからの観覧券のWEB事前購⼊が可能になります。プラネタリウムも座席の予約から配席、WEBでの事前購⼊までの一連の流れをスムーズにできるようになります。一部の観覧券はモバイル化するなどチケットレスでの対応をするとしています。さらにクレジットカードや電⼦マネー、⼆次元コード決済への対応も可能になります。従来は電話とFAXで予約を受け付けていた、団体からの観覧券などの予約受付もWEB上から可能になり、利用者の利便性が増すことに繋がるとしています。また、入場手続きが⼆次元コードなどによってデジタル化されたことで、リアルタイムでより正確な来館者数管理が可能になり、館内の混雑状況を名古屋市科学館のWEBページからお知らせができるようになります。


 名古屋市では今回の科学館発券システムの再構築に、デジタル田園都市国家構想交付金から103,345千円分の採択を受けています。また令和5年(2023年)度の名古屋市の予算にも100,000千円を計上しています。6月には「名古屋市科学館発券システムの再構築業務委託」も行われ、株式会社ロココによって落札がされています。



まとめ


 この事業は令和6年(2024年)度から始まる、新たな「第4期名古屋市教育振興基本計画(案)」にも重点戦略の「教育デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進」の中の1つとして含まれた事業で、今後も名古屋市が教育方面でのDX化を進めていくことが分かります。このような自治体の取り組みの兆候を見逃さずに拾っていくことが、自治体からの案件獲得につながるのではないでしょうか。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

名古屋市HP:第4期名古屋市教育振興基本計画(案)における5つの基本的方向について

名古屋市HP:令和5年度主な施策等一覧(教育委員会)

名古屋市入札システムHP:令和5年度 教育委員会 入札結果

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金交付対象事業の概要 愛知県

最新記事

すべて表示

全国初の自治体窓口DXSaaS実装!和歌山県紀の川市の事例

はじめに ニュースや書籍などで目にすることも多くなってきたDX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉。国では令和2年(2020年)に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」において、「将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること」と定義しています。このDX化の波は留まることを知らず、今や官民

地方創生と群馬のブランド力向上のためのeスポーツの推進ー群馬県の取組事例

はじめに 近年、eスポーツは地域産業の活性化や高齢者福祉、地域コミュニティの活性化に繋がるコンテンツとして地方自治体から注目が集まっています。ゲームの特性上、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関わらず、誰もが参加できるツールとして導入が進んでいます。これまで神奈川県横須賀市、東京都西東京市や荒川区の取組みを取り上げてきましたが、今回は群馬県が取り組む地方創生や群馬のブランド力向上のためにeスポーツを

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―奈良県生駒市Pt.2

はじめに 現在、日本全国の地方自治体によって取り組みが進められている「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などの最新のデジタル技術を活用して、地域それぞれの魅力や特性を損なわないようにしながら利便性や住民サービスの向上を目指すものです。この構想を実現するため「デジタル田園都市国家構想交付金」制度も創設され、交付金を活用して地域活性化や地方創生を図る

bottom of page