top of page

デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―愛知県東郷町



はじめに

 現在、全国各地の地方自治体で取り組みが進められている「デジタル田園都市国家構想」。この構想はAI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などのデジタル技術を活用して、地域ごとの魅力を維持しながら利便性や住民サービスの向上を目指すものです。「デジタル田園都市国家構想交付金」制度も創設され、全国の自治体で様々な事業が行われている最中です。石川県小松市の小松空港と小松駅を結ぶ自動運転バスの実証静岡県静岡市のメタバース(仮想空間)を活用した移住促進事業愛知県西尾市の書かない窓口の構築など、バリエーション豊かな事業が進められています。今回は愛知県東郷町の保育園保育業務支援システムの導入について見ていきたいと思います。

 


東郷町の取り組み


 東郷町は愛知県の中部に位置する自治体で、愛知郡に属しています。人口は令和5年(2023年)9月の時点で、約43,000人を有しています。県庁所在地である名古屋市と愛知県第二の都市である豊田市の間に立地することから「住宅のまち」としての側面が強い都市になっています。また、全国規模の競技用ボート大会が開催される漕艇場を有する愛知池や国際招待ゴルフ「中日クラウンズ」が開催される名門ゴルフコースである名古屋ゴルフ倶楽部・和合コースが立地するなど、スポーツが盛んな都市です。


 この東郷町ではデジタル田園都市国家構想交付金を活用して、「保育業務⽀援システムの導⼊による保育サービス向上」に乗り出しました。令和5年(2023年)2月の東郷町議会第1回定例会でも、井俣憲治町長の施政方針演説の中で「町立の保育園では、保護者への連絡や園児の登降園確認などをアプリにより実施することができる保育業務支援システムを導入し、保護者の皆様の利便性向上と保育園と保護者のコミュニケーションの充実を図ってまいります。」と触れており、令和5年(2023年)度の施策の中でも力を入れたものだということが伺えます。


 具体的な取り組み内容を見ていきます。東郷町内の4つの町立保育園において、保育業務システムを導入。このシステムと連携する専⽤アプリケーションを園児の保護者向けに提供して、これまで紙の連絡帳やお便りなどでやり取りしていた連絡事項や⽋席の連絡、各種アンケートなどを電⼦化します。また、登降園時間や延⻑保育時間などの管理をシステムが⾃動で管理できるようにし、置き去りの防⽌など、園児の安全対策をより万全なものにしていきます。さらにシステム上から病気の既往歴やアレルギー情報などの園児情報の管理・周知ができるようになり、保護者にとって一層安⼼安全な保育サービスを提供できる環境を整備するとのことです。指導計画や保育⽇誌などの作成⽀援機能も搭載することにより、質の⾼い保育計画⽴案が可能になり、園児たちと向き合う時間が増加するとしています。


 東郷町はこの保育業務⽀援システムの導⼊による保育サービス向上に、デジタル田園都市国家構想交付金から11,386千円分の採択を受けています。また令和5年(2023年)度予算にも「保育業務支援システムの導入」として、8,098千円を事業費として計上しています。「東郷町立保育園保育業務支援システム導入及び運用保守業務プロポーザル」も実施され、NTTビジネスソリューションズ株式会社が優先交渉権者として選定されています。


 

まとめ

 同様のシステムは、同じ愛知県内の田原市もデジタル田園都市国家構想交付金を活用して進めており、保育士の人手不足が社会問題となっている中で、保育支援システムのニーズが一層高まっていることが伺えます。このような自治体のトレンドに目を配り、アプローチをしていくことが、自治体からの案件獲得に繋がるのではないでしょうか。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。





出典:

東郷町HP:2023-02-24:令和5年第1回定例会(第1号)本文

東郷町HP:第5 令和5年度東郷町当初予算事業の概要

東郷町HP:東郷町立保育園保育業務支援システム導入及び運用保守業務プロポーザル

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金交付対象事業の概要 愛知県

最新記事

すべて表示

観光・産業振興のためのeスポーツの推進ー神奈川県小田原市の取組

はじめに eスポーツ(electric sports)は、世界的に注目を集めています。近年、日本国内でも流行の兆しが見えてきており、日本のコンテンツ市場においても今後の成長産業として考えられ、様々な周辺産業への経済効果が期待されています。成長分野であるeスポーツに、小田原市として年齢・性別・障がいの有無に関係なく多くの人が楽しめるeスポーツに着目し、eスポーツを観光コンテンツとして様々な事業に取り

eスポーツでいい里づくり事業ー熊本県美里町の取組事例

はじめに 近年、eスポーツは地方自治体に、子どもから高齢者まで幅広い世代に向けた健康増進や就労支援等の領域で導入が進んでいます。eスポーツとは、「エレクトリック・スポーツ」の略で、主にコンピューターゲームやビデオゲームを使った大戦をスポーツ競技としてとらえる際の名称となっています。ゲームの特性上、年齢や性別、国籍、障害の有無に関わらず、誰もが参加できるのが特徴です。これまで本ジャーナルでも、地方自

神奈川県の子育て情報がLINEに一元化ー神奈川県の取組事例

はじめに 全国の地方自治体では、少子高齢化や人口減少の社会課題解決のための施策として、子育て支援に注力しています。子育て世代は、若い頃からスマホや携帯電話、PCに慣れ親しんでいる世代となっているため、高齢者世代に比べ自治体DXの施策は効果を発揮させていきやすいと言われています。今回紹介する神奈川県の事例は、県内在住者向けの子育て支援情報を「かながわ子育てパーソナルサポート」というLINEサービスで

Comments


bottom of page