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デジタル田園都市国家構想交付金の活用事例―愛知県江南市

  • 執筆者の写真: Kohei Morisako
    Kohei Morisako
  • 2024年1月19日
  • 読了時間: 5分

更新日:2024年3月7日



はじめに


 本ジャーナルで特集を続けている「デジタル田園都市国家構想」。AI(人工知能)やIoT、ドローン(無人航空機)などのデジタル技術を活用し、地域それぞれの魅力を損なわずに利便性や住民サービスの向上を目指すこの構想は、地方創生を目指す自治体の取り組みの中心になっています。この構想を実現するため、「デジタル田園都市国家構想交付金」の制度も設けられ、神奈川県逗子市の防犯カメラを活用した人流把握事業石川県小松市の小松駅と小松空港を結ぶ自動運転バスの実証山梨県甲府市のマイナポータルを活⽤した健康づくり⽀援など、全国の地方自治体で様々な事業が行われている最中です。今回は愛知県江南市のフードシェアリングサービスの実装による食品ロス削減事業にフォーカスしていきたいと思います。



江南市の取り組み


 江南市は愛知県北部に位置する自治体で、岐阜県各務原市との県境に接しています。人口は令和5年(2023年)9月の時点で約96,000人を有しています。いわゆる昭和の大合併で生まれた自治体で、昭和29年(1954年)に丹羽郡古知野町、布袋町、葉栗郡宮田町、草井村の4町村が合併することで誕生しました。愛知県の県庁所在地である名古屋市から20km圏内に立地しており、名古屋鉄道(名鉄)犬山線を使って約20分で名古屋市内にアクセスできることから、ベッドタウンとして人気がある都市です。


 この江南市ではデジタル田園都市国家構想交付金を活用して、株式会社G-Placeの提供しているフードシェアリングサービス「タベスケ」を使った食品ロス削減マッチングサービス「こうなんタベマルシェ」を開始しました。このタベスケの導入に関しては、江南市ではかねてから議論がされていました。江南市議会令和3年(2021年)6月定例会において、議員側から兵庫県姫路市のタベスケを使った食品ロス削減マッチングサービス「Utteco Katteco by タベスケ」について質問がされました。さらに江南市においても同様のサービスを展開することについて議員側から要望がされています。この要望に対して、江南市は「姫路市が実施をしている事業については、本格運用から2か月あまりしか経過していないことから、導入については、その効果と継続性などについて、鋭意調査研究をしていきたいと考えている。」との答弁をしていました。このことから、姫路市の事業開始から時間が経過して導入による効果が判明し江南市内で議論が進んでいった結果、デジタル田園都市国家構想交付金を活用できるタイミングで導入が決まったことが伺えます。


 続いて、こうなんタベマルシェの具体的な取り組み内容を見ていきます。まず、飲食店・小売店やコンビニ・スーパー・直売所などの食品を取り扱う店舗が店舗登録を実施。その後、廃棄になってしまいそうな商品など、商品情報を登録し出品する条件などを設定して出品理由を記載すれば、その日の内から出品が可能になります。利用者側もスマートフォンやPCから利用登録した後、商品を検索し気になる商品や店を見つけたら購入予約をして、店舗に訪れて購入をする流れで利用が出来ます。店舗側は廃棄を防ぐことが出来、利用者側は通常より安価に購入することが出来るWIN-WINのサービスとなっています。また、店舗側・利用者側の双方とも利用料・登録料を無料で利用することが可能です。


 江南市では、こうなんタベマルシェ事業にデジタル田園都市国家構想交付金から352千円分の採択を受けています。令和5年(2023年)10月1日からこうなんタベマルシェのサービスを開始。合わせて江南市の広報誌である「広報こうなん」などで、市民への周知を行っています。



まとめ


 江南市ではタベスケの活用に関する議論・検討がされていることが江南市議会議事録から明らかになっており、デジタル田園都市国家構想交付金を活用して導入した経緯が分かります。このような自治体から発される情報を見逃さずに拾い集めていくことが、自治体からの案件を獲得する近道になるのではないでしょうか。


 グローカル社では、自治体の情報を横断して一括検索できるツール「G-Finder」を活用したトレンドを見逃さない調査サービス「G-Finderレポート」を提供しています。自治体に関する調査や、自治体への提案・入札参加をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。



執筆者 グローカル編集部

地方創生コンサルティング、SaaS/レポートサービスを通して地域活性化を支援する、グローカル株式会社の編集部。地域活性化を目指す事例や自治体・地域企業/中小企業のDX化に向けた取り組み、国の交付金・補助金の活用例を調査・研究し、ジャーナルを執筆しています。

グローカルは、国内全体・海外に展開する地方発の事業をつくり、自立的・持続的に成長する地域経済づくりに貢献します。






出典:

江南市HP:江南市食品ロス削減マッチングサービス「こうなんタベマルシェ」 10/1(日曜日)よりスタート!

江南市HP:こうなんタベマルシェ ユーザー用チラシ

江南市HP:こうなんタベマルシェ 協力店用チラシ

江南市HP:江南市議会議事録 江南市 令和3年6月定例会06月16日-03号

江南市HP:広報こうなん 令和5年10月号

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局HP:デジタル田園都市国家構想交付金交付対象事業の概要 愛知県

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